ブルガリア食材店でヨーグルトを
しばらく前に近くにできた小さなブルガリア食材店。
ウィンドウから見える商品のパッケージにはキリル文字しか見えない。ドイツ向けに作られたものではなく現地からの輸入品と思われる。
通るたびに気になりながらも、お客さんが入っている様子がなく、入るのがためらわれた。
先日、ちょうど息子と一緒だったときにいい機会だからと入ってみた。
狭い間口の店には保存食や冷凍食品、日用品まで並ぶ。瓶詰めなど中身が見えるものはだいたいそれが何であるかわかるものの、大方のものはよくわからない。
おそらく裏にはドイツ語表示のシールが貼ってあると思われるが、ひとつひとつ見て確認するのもなんとなく気づまりだ。
ざっと店内を見て、これはたぶんアレだろう、と思うものを手に取った。
日本にも昔よくあった小さな個人商店を思い出させるレジには、中年の男性がいた。こちらが少し笑顔を作り緊張気味にヨーグルトを台におくと、同じく緊張気味に微笑み返してくれる。ふわっと気持ちが温かくなる。
ドイツで暮らしていてそれほど社会から疎外されていると感じることはないが(あまり社会に関わっていないせいもあるかな)、こうしていわゆる「よそ者」同士のふれあいにふと和むこともあるのだ。
購入したものはやはりヨーグルトだった。(よかった)
とろりとしたクリーミーなタイプではなく、ヨーグルト本来の固まっている形状で上澄み(乳清/ホエイ)が溜まっているタイプのものだ。さっぱりしていておいしくいただいた。昨今よく見かける乳脂肪分10%といった濃いものよりこちらが好きだ。
さて、某乳業会社の看板商品のひとつのイメージで、「ブルガリア」といえば「ヨーグルト」のようになっているが、現地では「?」といった認識であると聞く。たしかにヨーグルトは日常的に愛されているというのは事実だが、同様の国も多く、特筆すべき特徴はこれといってないということなのだろう。
昨今よく見かけるギリシャヨーグルトも然り、かもしれない。
じつはヨーグルトといえばトルコ、とも言われる。ヨーグルトの起源は紀元前数千年前の中央アジアとされ、もはやどこの国のものというものでもなさそうだが、「ヨーグルト」という言葉自体はトルコ語に由来するとのことだ。
もう20年も前のことだが、フランスにいたときに「フランスで流通するヨーグルトの半分以上はトルコで製造されている」と聞いたことがあった。最近ではドイツがヨーロッパにおける最大のヨーグルト生産国となっているが、トルコスーパーに行くとやはりヨーグルトを買いたくなる。
ブルガリアの食材店は他にもまだまだ探索の余地がありそうだ。近いうちに行ってみよう。
でもたぶん、またヨーグルトを買ってしまうだろうな。笑