業種ごとの特定技能活用①【外食業】
コロナウィルスの感染者が減って、緊急事態宣言も全面解除となり、飲食店や観光にも人が戻ってくるでしょう。
今後の人手不足を想定して、特定技能を検討する企業もありますが、何からやったらいいか分からない、コミュニケーションが心配などの声も多く聞かれます。
数回の連載形式で、業種ごとの特徴や注意点などをご紹介したいと思います。
第一回目の今回は、【外食業】について書かせていただきます。
特定技能を取得できる特定産業分野は14業種
特定技能には、1号(14業種)・2号(2業種)があり、それぞれ在留資格取得には条件があります。
また、雇用する企業も条件をクリアする必要があります。
詳しくは、特定技能についてをご覧ください。
・外国人を受け入れるための4つの条件
①外国人との雇用契約が適切な内容であること。
具体的な例としては、報酬額に関して、日本人従業員と同じかそれ以上である事などがあります。
②5年以内に出入国や労働に関する法令に違反した事実がないこと。
③外国人労働者を支援する体制が整備されていること。
具体的な例としては、外国人従業員が理解できる言語で支援する体制(通訳)などを用意するなどです。
④外国人を支援する計画が適切であること。
特定技能では、支援計画と呼ばれる年間計画を事前に作成・申請する必要があります。出入国時の送迎や、日本語学習の機会提供・日本生活のルール説明などを行う旨を明記します。
上記は業種に関わらず、必ず必要となります。
さて、前置きはこの辺りにして、本題である【外食業】について書いていきたいと思います。
特定技能【外食業】の特徴
コロナ禍で従業員の解雇などをせざる負えない状況だった外食業。
コロナ前では、常に人手不足と言っても過言ではない状態であり、外国人の店員さんもよく見かけていたと思います。ただ、その見かけていた外国人店員は、大抵が就業可能時間に制限のある留学生アルバイトでした。アルバイト以外では、外国人を飲食店が雇う方法がなかったからです。
しかし、特定技能ができたことによって、飲食店でも制限なく海外人材を雇用できる様になったのです。
【外食業】において受け入れ可能な機関の条件は「飲食サービス業を行っている事業所」です。つまり、ほぼ全ての関連事業者が可能なのです。
例えば、ファーストフード店・食堂・レストラン・料理店・喫茶店・テイクアウト専門店などが挙げられます。このような事業所で、飲食物調理・ホールスタッフはもちろん、店舗管理や和食料理人としての修行も可能です。
汎用性の高い在留資格
特定技能【外食業】は、飲食物の調理・接客・店舗の管理などだけでなく、それに関連する業務(経営管理やデリバリー、チラシ配りなど)も行うことができます。他の就労系ビザと比べても幅広く業務に携われるので、汎用性が高い在留資格だと言えるでしょう。
しかし、風俗営業許可が必要とされる業種、加えて“歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなす”接客は禁止されています。
【外食業】の資格を取得する要件
特定技能で海外人材が働ける期間は最長5年間です。技能実習や留学生(アルバイト)の時期も合わせて活用できれば、より長期に渡って雇用することが可能です。
特定技能は18歳以上であることが必要ですが、それに加え、外食業で働くには下記の資格が必要です。
・日本語能力水準:
「日本語能力試験 N4以上」または「国際交流基金日本語基礎テスト」に合格していること。
・技能水準:
一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)が運営する「外食業特定技能1号測定試験」に合格していること。試験の内容は「接客全般」「飲食物調理」「衛生管理」について。
その他、「医療・福祉施設給食製造」の技能実習2号を良好に終了した技能実習生は、上記の試験が免除されます。日本語能力や技能に関する試験を受ける必要はありません。
技能実習生である時に「医療・福祉施設給食製造」以外の実習を受けていた場合は、技能実習2号を良好に終了していたとしても、技能試験を受ける必要があります。この場合、日本語試験は免除されます。
さいごに
私が仲良くしている外食業の人事担当者さんは、留学生時代にアルバイトで働いてくれているスタッフを、学校卒業と同時に特定技能で再雇用する流れをメインに考えられています。
この場合、飲食店側としては、数年のアルバイト経験でお店ごとのルールなども熟知していて、かつ日本人従業員とのコミュニケーションも問題なくできている人材の採用が可能になります。そのため、採用後のミスマッチを限りなく減らすことができます。これは飲食店側だけでなく海外人材としてもとても良いことだと思いますので、是非続けていただけると嬉しいですね。私としても、Linkusとしても、この様な良い形で海外人材雇用を進める企業さんのお手伝いを積極的にしていきたいと考えています。
5年間で特定技能での雇用が終了した後、インバウンド客が多く来店する飲食店であれば、高度人材ビザ(通訳)へ切り替えての継続雇用も可能になるかも・・・?