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【Oral care-6】歯周炎患者の唾液中の微生物叢は大腸炎を悪化させる

オーラルケアシリーズの第6回目です。
今回は歯周病と大腸炎との関連に関する最新の論文をご紹介します。

▶論文タイトル
「Periodontitis Salivary Microbiota Worsens Colitis」
▶論文情報
J Dent Res. 2021 Nov 19;220345211049781.
発行日:2021年11月19日
▶概要
健康な人と歯周炎の人から唾液中の微生物を採取し、C57BL/6マウスに投与した。
歯周炎により唾液中の微生物叢を飲み込むことで大腸炎の発症に寄与していることが示され、全身疾患における歯周炎の役割が確認されるとともに、消化器系炎症疾患の病因について新たな知見が得られた。

今回の論文は動物実験の結果ですが、唾液に含まれる微生物叢を飲み込むことで、大腸にまで影響を及ぼし、大腸炎をはじめ、全身疾患の原因になっている可能性がある、ということです。

また一方で、ヒトにおいて、歯周病の治療を行うことで大腸がんの発がんや進行に関連しているフソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)の便中の発現量が減少する、という報告が横浜市立大学より発表されています。
「A prospective interventional trial on the effect of periodontal treatment on Fusobacterium nucleatum abundance in patients with colorectal tumours」
Scientific Reports volume 11, Article number: 23719 (2021)

口腔内のフソバクテリウム・ヌクレアタムは、大腸がん組織中に存在するフソバクテリウム・ヌクレアタムと同一であることがわかっています。

しかし、歯周病治療を行うことでどうして便中のフソバクテリウム・ヌクレアタムが減少したか、そのメカニズムはまだ未解明だとのことです。

この二つの論文から、口腔内の状態と腸内環境は密接に結びついており、これまで繰り返しお伝えしているように、歯に異常が無くても、まずは口腔内のメンテナンスを定期的に行うことが様々な疾患を防いでくれると言えそうです。
また、日々の手入れとして、しっかりブラッシングを行うことと、殺菌作用のある成分、例えばラクトフェリンを配合した商品を摂るのも効果的です。

更に、口腔内だけでなく、腸内環境を整え、特に腸バリア機能を良くしてくれるような腸内細菌、例えばビフィズス菌や乳酸菌、更には酪酸菌や糖化菌と呼ばれるものをサプリメント等で積極的に摂取するのが良いと言えます。



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