なぜ就労外国人の日本語教育をやろうと思ったのか?

今回は、現在進めている文化庁の「日本語教育人材養成・研修カリキュラム等開発事業」の内容について報告していく前に、そもそもなんで株式会社link design labをはじめたの?というお話を少し。

日本社会に感じた違和感

株式会社link design labを立ち上げた背景にあったのは、日本に暮らす外国人住民をNPOとして10年以上サポートする中で、感じた日本社会への違和感でした。

前回の記事でも簡単に書きましたが、当社がある愛知県は、全国で2番目に外国人が多く、日系ブラジル人やアジアからの技能実習生など就労する外国人が多い地域です。

日本は「移民は受け入れない」という建前ですが、30年ほど前から、さまざまな形で労働者として外国人を受け入れてきました。外国人労働者数も2013年以降、過去最高を更新し続けています。日系人、技能実習生、留学生のアルバイトなど、形はさまざまですが、外国人労働者が日本の経済を支えています。

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引用:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和元年 10 月末現在)
(厚生労働省、令和2年1月)

そして、人手不足がより深刻化する中で、2019年4月の入管法改正で新たに「特定技能」という在留資格をつくり、日本政府は外国人労働者をさらに受け入れていく方向に舵をきりました。

しかし、日本社会が必要だから外国人を受け入れているにも関わらず、外国人労働者をサポートする体制はほとんど整っていないのです。特に日本語や文化・習慣を学べる公的な機関がなく、地域の日本語教室がその役割を担ってきたのが実情です。20年以上暮らしていても、自分の名前をひらがな・カタカナで書けない人も珍しくありません。

日本に暮らしているのに、日本語も分からないなんて、ナマケモノ!と思うかもしれませんが、私たちが英語を何年勉強しても話せないのと同じです。。。(笑)ことばを勉強するとは、時間もかかりますし、専門的なサポートなしには難しいんです。

外国人の抱える壁

NPOとして外国人住民の日本語学習のサポートしたいと思い、5年ほど前から地域の外国人向けに日本語教室をはじめました。生活に役立つ知識や日本語を伝えることをコンセプトに、買い物や病院、災害などさまざまなテーマで実施しました。

その中で、日本の就労現場で苦労している話を耳にするようになりました。

・母国では弁護士や医師など専門的な仕事をしていたのに、日本では母国の経歴は一切評価されない。そもそも、聞かれもしない。

・日本語が分からなくても作業はできるが、危ないことを報告したり、困ったことを上手く伝えられずに日本人に怒られてしまう

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(日本語教室のみなさんとの写真)

私たちが日本語教室で出会う外国人のみなさんは、いろいろな経験があり、意欲も高く、日本社会に貢献したい考えている方ばかりです。しかし、ことばや仕組みの違いによって、能力を生かせなかったり、外国人は企業に評価されにくい存在になっているという事実にショックを受けました。

一方で、企業からも外国人雇用に関する相談が年々増えていました。「リーダーとしてがんばってほしいが、日本語をどう伸ばしたらいいか分からない」というものや、「外国人を雇用したいが何から整備したらいいか分からない」など、企業側も対応に悩んでいるのだと感じました。

link(つながり)をdesign(創る)する存在になりたい

日本語ができないから仕方ないと仕事を選ぶのではなく、自分の能力を発揮できるように日本語の壁を乗り越えて、もっと素敵な企業に出会ってほしい。

外国人は単なる”労働力”ではなく、一緒に企業を盛り上げていく”人財”だと感じてもらいたい。

外国人だからと諦めないで(外国人自身も、企業も)、1人1人が組織に良い変革を起こす存在であると誇りを持って、働き、暮らしてほしい。そのために株式会社link design labを立ち上げ、就労外国人のための日本語教育事業に取り組んでいます。

次回以降、現在進めている就労者に日本語を教える日本語教師向けの研修カリキュラムの開発プロジェクトについて、報告していきますね!

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