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CNIOとCNICの研究により、脂肪を「燃焼」させる鍵となるタンパク質が同定される
スペイン国立がん研究センター(CNIO)と国立心血管研究センター(CNIC)の研究チームは、褐色脂肪が熱に変換され、肥満に関連する病状から保護される新しいメカニズムを明らかにした。
過去 10 年間のいくつかの研究で、褐色脂肪を活性化すると肥満や代謝性疾患を予防できることが示されている。長い間、褐色脂肪は熱を生成するために単一のメカニズムを使用すると考えられてきたが、現在ではそうではないことがわかっている。関与するメカニズムは複数あり、今回の研究により、その 1 つが MCJ と呼ばれるミトコンドリアタンパク質によって制御されていることが発見された。
研究では、肥満マウスから MCJ タンパク質を除去すると、これらの動物はより多くの熱を生成し、体重が減ることが明らかになった。さらに、体重を減らすには、MCJ タンパク質を含まない褐色脂肪を動物に移植するだけで十分だったという。
研究者らはまた、「褐色脂肪組織にMCJを持たない動物は、糖尿病や血中脂質の増加など、肥満が原因の健康問題から保護されている」ことも観察した。
「この保護は、肥満によって引き起こされるストレスに適応するための重要なシグナル伝達経路の活性化によるものです。異化経路として知られるこの経路は、脂肪、糖、タンパク質の消費量を増加させ、褐色脂肪で熱を生成します。これは、非常に活発な褐色脂肪を持つ人々にも起こるメカニズムです」と研究者は述べている。
研究は現在、肥満患者におけるこのタンパク質を阻害する治療法の開発を目指しているが、そのためにはまず、MCJ タンパク質が他の組織で重要な機能を果たすかどうかを調べる必要があるとのことである。