派遣社員は残業をしなければならないの?残業を断るコツ、残業を断れない場合は?残業しすぎると?などを徹底解説!!
派遣社員の方で残業が多すぎて困っていませんか?!
残業をしたくないのにしなければならない、「残業ができません!」と言っていたのに押しつけてくる場合などありませんか?!
この記事では、派遣社員の残業についての基礎知識、なぜ残業をしなくてはいけないのか、残業を断る理由、断るコツ、残業代の計算など、気になるポイントを丁寧に解説していきます
この記事で分かること
・派遣社員の残業について、契約の仕組み
・派遣社員が残業を断るコツ
・派遣社員が残業をコントロールできる方法
派遣社員の残業はどうなっているの?!
そもそも、派遣社員の残業については、派遣先によって様々な違いがあります
残業がとても多い派遣先もあれば、残業が全くない派遣先もあります
また、月初や月末、年度末などの繁忙期など、時期によって残業が多くなるケースもあります
派遣社員の皆さんは、この残業について色々と悩んでいるケースが多くあります
残業をやり過ぎて体調不良になっていないか、無理な残業を強いられていないか、など自分の希望する働き方に沿った残業管理ができているか、重要なポイントとなります
派遣社員の残業について、契約の仕組み
まずは派遣社員の残業について、派遣社員と派遣会社、派遣先企業の関係性をみていきましょう
派遣社員の場合は、雇用契約先は派遣会社であり、賃金、残業代は派遣会社から支払われます
しかし、業務の指揮命令権を持っているのは派遣先企業なので、残業についての指揮命令は派遣先企業が行うかたちとなります
ただし、派遣先企業が残業を指示できるかどうかは、派遣会社と派遣社員の契約内容にもよりますので、派遣先企業の独断で残業を強いることはできません
前もって、派遣先企業と派遣会社で契約内容を確認する必要があります
これが前もってしっかりと共有認識できていることが、重要ポイントとなります
※【派遣契約の仕組み】についてはこちらで詳しく解説しています
残業をしたい人、残業をしたくない人
また、派遣社員の残業については「残業をしたい人(沢山稼ぎたい)」「残業をしたくない人(定時で帰りたい)」に分けられます
派遣の仕事を決める際に、「自分が月額でいくら稼ぎたいか」、「残業も踏まえると月額がいくらくらいになるのか」、はしっかりと確認しておきたいところであります
逆に、残業をしたくない人(定時で帰りたい)は、仕事を決める前にしっかりとその派遣先は定時で帰らせてくれるか、確認をする必要があります
残業に関しては、それぞれ希望が違うことから、仕事を決める際は仕事内容はもちろん、残業時間の確認をしっかりと取り、双方(派遣先、派遣社員)の認識をしっかりと合わせておきたいものです
仕事を始めてから後々トラブルに発展することもあります
また、主婦の方は「限られた時間の中で、精一杯稼ぎたい!」という希望が多いので、月額収入の目安、時間の制限については前もって決めておくことをおすすめします
※【主婦派遣の働き方】についてはこちらで詳しく解説しています
残業時間の上限について
まず、労働者の法定労働時間については、労働基準法32条で「労働時間を1日8時間、週40時間を超えてはならない」と定めています
原則、上記の時間までしか働くことはできません
ただし、36協定を締結している場合は、「月45時間、年360時間」の残業上限が適用されます
また特別条項付36協定を締結している場合は、「月100時間未満、年720時間以内」の残業上限が適用されます
※ただし、月45時間を超えるのは年に6ヶ月まで、2~6ヶ月ごとの時間外労働の平均が、80時間以内
よって、上限なくして残業をして良いわけではありません
繁忙期など、派遣先によっては「月120間の残業をしていた」などと聞くケースもありましたが、違法となりますので多すぎる残業時間には注意が必要です
自身の契約内容(36協定内容)をしっかりと把握してください
※36協定内容が分からない人は派遣担当者に聞いてみて下さい、教えてくれます
残業する場合は申請が必要な場合も
派遣先によっては、残業する場合は「事前申請」の形を取っているケースもあります
原則、残業をする、しないの指揮命令権は派遣先が持っています
しかし、それを派遣社員に一部委ねているケースもあります
仕事の進捗管理を派遣社員に委ねていて、派遣先担当者が当該派遣社員が残業をしなければならない状態か、今日でなくても良いか、の判断ができない場合です
そうした場合、今日残業するかしないかの決定権を派遣社員が持っているケースです
派遣先の規定で、「事前申請」のルールがある会社は忘れずに申請しましょう
「事前申請がない場合は、残業をすることができない」など、会社規定になっている派遣先もあります
派遣社員が残業ができる場合、残業ができない場合
それでは、派遣社員の残業について、できる場合とできない場合があるのはなぜでしょうか?!
残業ができる場合
派遣社員の残業については、派遣会社において派遣社員が残業できるように準備をしておく必要があります
■36協定を締結している
派遣社員が残業をする為には、派遣会社において派遣労働者と36協定を締結しておく必要があります
そもそも、36協定とは企業が労働者に法定労働時間外の労働や休日労働をさせる際に締結する労使協定のことです
原則、労働基準法によって「法定労働時間は1日8時間、週40時間以内」と決められています
この法定労働時間を超えて残業させる場合には、予め労使協定で36協定を締結しておく必要があります
また休日に関しても、1週間のうち1日もしくは4週間で4日の法定休日を設けなければならなく、その休日に労働をする場合も36協定を締結しておく必要があります
ですから、法定労働時間を超える残業をする場合は、36協定を締結しておく必要があります
この36協定を締結していない場合は、法定労働時間を超える残業ができません
■就業条件明示書で残業時間の締結をしている場合
就業条件明示書等で、残業を命令する規定が明示されている場合は残業ができます
就業条件明示書の内容の中において、以下のような内容表記があれば残業をすることができます
【時間外労働】の項目には36協定で締結されている時間が記載されています
また特別条項付36協定が締結されている場合、その規定も明示してある場合があります
※締結してあっても就業条件明示書には記載がない場合もあります
【休日労働】についても記載があります
今一度、自身の就業条件明示書を確認してみましょう
※【就業条件明示書】についてはこちらで詳しく解説しています
残業ができない場合
それでは次に残業ができないケースはどういった場合なのでしょう?!
■36協定を締結していない
派遣社員が法定労働時間を超える時間外労働をする場合、36協定が必要であることは説明しました
逆を言えば、36協定を締結していない場合は残業ができない、ということです
現状、どの派遣会社においても36協定を締結していない派遣会社は聞いたことはありません
おそらく、どの派遣会社においても36協定を締結しているかと思います
今一度、自身の派遣会社の36協定を確認してみても良いかもしれませんね
■就業条件明示書で残業時間を締結していない場合
上項の残業が可能な場合は、就業条件明示書内において残業の表記がありました
逆に、残業時間についての表記がない場合は残業をすることができません
もしくは、時間外労働の項目に「無」の表記がある場合です
派遣会社としては、「無」の表記はあまりにリスクが高すぎるので、大抵の場合、「有」としているので、ケースとしては多くありませんが、確認が必要です
残業時間について締結していない場合、もしくは「無」の場合は、残業ができませんので注意が必要です
派遣社員は残業を断ることができる?!
派遣社員の方で、多くの残業を強いられていて体調を壊してしまった、プライベートの時間を確保できない、などの悩みが多くあります
派遣社員は残業を断ることができるのでしょうか?!
残業を断ることができる場合、できない場合
■残業を断ることができる場合
①36協定が締結されていない場合
②就業条件明示書において残業ができない旨の記載がある場合
■残業を断ることができない場合
①36協定が締結されている場合
②就業条件明示書において残業の表記がされている場合
③残業時間が36協定で定められた範囲内である場合
原則、記載がある場合は、残業を断ることができません
残業を命令することが契約・法律上認められているため、基本的に断れない、ということになります
ただし、現状は融通を利かせてくれる派遣先が多いです
残業することが難しい旨を上手に伝えることで、派遣先が「いいよ、今日は無しで」と言ってくれるケースも多くあります
残業を上手く断る、5つのコツ
派遣社員の方の残業に関する悩みの中で、「残業を上手く断りたいんだけど、何て言えば良いの?!」という相談が多くあります
その残業を上手く断る5つのコツについて解説していきます
①早めに残業ができない旨を伝える
毎日、毎週、毎月の業務スケジュールを提出している派遣先、していない派遣先、それぞれあると思います
提出している派遣先であれば、業務内容と共に、残業についてもできる日、できない日、をしっかりと書面ベースで伝えておきましょう
予め伝えておくことで、上長の方も業務計画が立てやすくなり、「○○さんができなければ、△△さんにお任せしよう!」といったように前もって判断でき、お互いのストレスが生じなくなります
また日々の業務において、進捗によっても、突発的に残業の必要性が出てきたります
今日は残業をしなくても間に合う仕事量だったのに、急に今日締めの仕事が入ってきたりするケースです
予め、残業ができないことを周りの方に伝えることで、残業ができる方の特定ができ、残業をする方も準備ができます
また、その方への一言を準備しておきましょう(気持ちよくお願いができるように)
いざ、そのような突発的に残業をしなくてはならない状態でも、代替者にお願いできる体制を前もって準備しておくことで、残業を回避することができます
②できるところまでやって、相談する
ただ、「残業ができませんので、帰ります」と伝えるのか、「今日はここまでやりまして、明日で完了予定で間に合いますので、今日は帰らせてください」と伝えるのか、受ける方の印象は全く違います
後者は上長に「大丈夫だ」という印象を与えることで、許可が取りやすくなります
最大限できるところまでやって、その後のスケジュールを伝えることで、悪い印象を与えることなく、安心感を与えることができます
③今日でなくても良い状態を上手に伝える
上長の方はあなたの業務の進捗状況を詳細まで把握していないケースも多くあります
良くあるケースが、上長は業務が間に合わないから残業をやって欲しい、と思っているが現場の派遣社員はその業務は今日でなくても良いと把握している場合、が見受けられます
こうした場合は上手に上長の方に伝えましょう
「この業務の納期は3日後で明日2時間やれば終了しますので、今日は上がらせてもらってよろしいでしょうか?!」
伝えるポイントは、「納期がいつまでで、いつ完了する予定なのか」、そこを正確に伝えることで、上長は予定が見えてくるので安心し、許可をしてくれます
④今日終わらせなくてはならない仕事を時間内に終わらせる
そもそも残業の必要性は、「今日残業をやらなければ、納期に間に合わない」、という理由からです
1日の業務スケジュールの中において、本日納期の仕事があれば、それは1番の優先事項です
何よりも優先で業務が完了するように努めましょう
もし、時間内に終わることが難しそうなら、上長への報告、他者への相談をしてみましょう
仕事は段取り、スケジュールがとても重要です
予めそれをきっちりと把握、準備ができていればスムーズに進めることができます
⑤そもそも残業ができない条件で入社していることを軟らかく伝える
職場見学、顔合わせの際に、残業ができない条件で入社しているにも関わらず、残業をお願いされるケースも良くあります
派遣先の上長としては、それを忘れてしまっているケース、知っているがどうしても残業をやってもらいたい、などのケースが考えられます
忘れてしまっているケースについては、軟らかく上手にお伝えしましょう
「初めにお伝えさせて頂きましたが、息子をお迎えに行く時間が17:30迄になりまして、私以外に迎えに行ってあげられる者がいないので、申し訳ありませんが上がらせてもらってもよろしいでしょうか?!」
また、上長がそれを知っていても、突発的な業務の発生で残業を依頼された場合は、できる限りの時間で協力的な姿勢を見せましょう
「息子を迎えに行かなければならないので、17:15迄でよろしいでしょうか?!」
伝えるポイントとしては、自分としては最大限の条件の中で働いている、という状況を上手に伝えるという点です
残業を断った場合の影響
派遣先は残業をお願いしたいのに、こちら都合で残業ができない場合、印象的にはネガティブな印象を与えざるをえません
しかし、そもそも派遣会社との契約で残業が認められていなかったり、36協定で定められている残業時間の上限を超えたりする場合など、残業することが違法となるの場合は断ることも大切です
その責任は派遣会社の労働管理となりますので、派遣社員個人が責められる内容ではありません
残業時間について労働契約で締結されていて、36協定の時間範囲内の残業である場合、断ること事態はネガティブな印象を与えてしまうことは否めません
しかし、その印象を最低限に抑えることで、派遣先とのコミュニケーションを円滑に進めることができます
最大限、協力的な姿勢を見せつつ、会社の繁忙期などの突発的な業務のときは、快く残業を受け入れることも必要かと思います
そのような姿勢を見せることで、あなたの業務に対する姿勢が評価され、労使協定方式における待遇アップを期待できるかもしれません
派遣社員が残業をしないという選択ができる?!
そもそも、派遣社員で仕事を始める時に、残業をしないという選択ができるのでしょうか?!
色々な都合で、定時までしか働くことができない方も多くいます
仕事を決める中で残業をしなくて良い職場を選択する為にはどのようにすれば良いのでしょうか?!
残業がない求人を探す
派遣で仕事を探すときに、求人票の中で得られる情報において、残業がない案件をピックアップすることが重要です
求人票の中には、残業が月間どのくらいの時間があるか、表記されている場合があります
もしなければ、事前に派遣会社に問合せをしてみても良いです
派遣担当者は、その企業の残業が多いのか、少ないのか、把握しています
遠慮なく、聞いてみることをおすすめします
※【派遣登録】についてはこちらで詳しく解説しています
残業をしないと初めから決めておく
条件的に残業ができないこと、または残業を希望していないことをしっかりと予め決めておくことが大切です
派遣先企業は、労働者(派遣社員)を企業の使い勝手が良いように使います
自身の条件、希望をしっかりと予め決めておくことで、入社してから「こういう条件にしておけば良かった。。。」などとなってしまうケースも山ほど見てきました
仕事を決める前に自身の条件をしっかりと確定しておきましょう
職場見学、顔合わせの際に確認する
仕事が確定する前に、大抵の場合、「職場見学、顔合わせ」があります
派遣会社の担当者から事前にざっくりと仕事の説明がありますが、残業については、その職場見学、顔合わせの際に、確認した方が良いでしょう
事前に派遣担当者から「この仕事は残業がないです」と聞いていても、実際「職場見学、顔合わせ」の確認において、残業が発生しているというケースは少なからずあります
必ず確認しましょう
派遣社員の残業時間、残業代について
次に残業時間、残業代について見ていきましょう
就業条件明示書内にある、就業時間、法定労働時間、時間外労働時間についてしっかりと理解しましょう
就業時間と法定労働時間
そもそも、労働基準法で法定労働時間は「労働時間を1日8時間、週40時間を超えてはならない」と定められています
就業条件明示書内の就業時間は、その派遣先企業であなたが勤める勤務時間を定義しています
例えば、【就業時間】欄に9:00~16:00と記載があれば、その通りです
残業は16:00以降から残業という認識になります
※決して8時間を超える時間のことを残業とは言いません
時間外割増について
労働基準法では法定労働時間を「1日8時間、週40時間まで」と定めており、これを超えると法定労働時間外となります
時間外労働の賃金は時給の25%の割増、夜22時~翌5時までの深夜労働はさらに25%割増となります。
8時間以上の時間外労働+それが深夜になれば、50%割増になります
また、1ヶ月60時間を超えた場合は、その超えた時間分については50%割増で支払わなければなりません
罰則規定について
まず、派遣社員が36協定に違反した場合、罰則を科されるのは派遣先企業となります
派遣社員と36協定を締結するのは派遣会社ですが、派遣社員の勤怠管理における責任は派遣先企業にある為、罰則を科されるのは派遣先企業となります
つまり、派遣先企業は派遣会社が派遣社員と締結している36協定の内容をしっかりと把握しておく必要があります
労働基準法改正前の36協定には罰則がありませんでした
改正後の36協定(大企業は2019年4月~、中小企業は2020年4月~)には法的拘束力を持たせ、36協定を締結していない場合、残業の上限を超えた場合、罰則が設けられました
まとめ
今回は派遣社員の方から良く問合せのある【派遣社員の残業】について解説しました
派遣社員も労働時間や残業時間については法律で定められているため、派遣社員が残業できるかどうかは、派遣会社の36協定の内容、派遣社員と派遣会社の契約内容に左右されることとなります
まずは自身が残業ができる環境(契約内容)にあるのかどうか、その上で、上限としてどの位の時間、残業が可能かどうか、しっかりと把握することが大切です
また、残業のやり過ぎにも注意しなければなりません
36協定で上限時間が定められているので、それを違反すると派遣先に罰則が科せられます
稼ぎたい方で、月100時間を超える残業を連続している方がいますが、注意が必要です
そのような場合はまず派遣会社に相談しましょう
派遣会社も勤怠管理(勤務時間管理)をしているので、労働時間は把握していますが、派遣会社は派遣社員の労働時間が多い方が儲かりますので、キツく注意しない場合もあります
残業のやり過ぎは心身共に負担が大きくなりますので、注意しましょう
また、仮にサービス残業をされている派遣社員の方がいれば、直ぐに派遣会社の担当者に相談をしましょう
守ってくれるはずです
いずれにしても、残業については賃金に関わる大切な事項ですので、きちんとした管理の下、対応していくことをおすすめします