「적극적(積極的)」や「구체적(具体的)」など、主に漢字語に付く「~적(的)」という言葉も、日本人にとっては直訳でOKなので馴染み易い。
しかし、ここにも落とし穴がある。
直訳すると、意味はわかるものの、明らかに日本人が書いたのではない怪しい日本語になってしまう。
ここはやはり
「オリンピックを成功させるために」
「作戦を成功裏に終える」
「ダイエットに成功するための選択」
などとしたいものだ。
また、韓国ではニュースなどで「自殺」という言葉を避け「극단적 선택(極端的選択)」と表現する。これも日本語には「極端的」という言葉がないので、直訳の「*極端的選択」よりは「極端な選択」と訳したほうが自然だ。
同じ「~的」という言葉なのに、なぜこのような差が生まれるのだろうか。
「積極的」や「具体的」は日本語でも「形容動詞(~だ)」として存在するため、「積極的な」「積極的に」「具体的な」「具体的に」という活用が可能だが、「成功」という言葉は、韓国語では「성공적인(*成功的な)」「성공적으로(*成功的に)」と、日本語の「形容動詞」的な活用をするのに対して、日本語では「成功する」という「動詞」は存在するものの、「*成功的だ」という「形容動詞」は存在しないからだ。
韓国と日本、それぞれの国語辞典で「~的」という言葉を調べてみると、韓国語では約2,000語、日本語では約400語がヒットした。韓国語のほうが5倍も多いことになる。
これは上の「성공적(成功的)」「극단적(極端的)」のように、韓国では「~的」の形を取るが日本では「~的」という形を取らない単語が数多くあるからだ。
そこで、韓国語に固有の「~的」という単語を1つ1つ見ていったところ、
「일회적(一回的)」のようにそもそも日本語に存在しない言葉の他、日本語では「的」を付けずに「~だ」を付けて「形容動詞」にするもの、「~する」を付けて「動詞」にするもの、そして「~だ」も「~する」も付けられない「名詞」になるものの3通りがあることがわかった。(ごく一部に「副詞」もある)
以下に、自分が個人的に日本語では通常「~的」が付かない、あるいは「的」の代わりに別の言葉を補うか別の言葉で言い換えないと自然な日本語にならないと感じたものを列挙する。
これらの中には、人によって日本語でも「~的」という使い方が許容されると感じる人もいるかもしれないし、「個別的自衛権」や「競争的資金」のように漢字語同士が連結する場合など、特に法律用語や公式文書などの限られた環境下では韓国語と同様に「~的」という形が存在することもある。
しかし、日常会話や一般的な文章においては、韓国語で「~적인」「~적으로」となっているものを全て日本語で「~的な」「~的に」と機械的に置き換えるよりも、上に挙げたような「言い換え」をしたほうが格段に自然な訳になるということは心の隅にとどめておいたほうがいいと思う。
たとえばこんな風に。。。
それにしても韓国語にはなんでこうも「~的」という言葉が多いのだろう。。。
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