旧仮名遣いと韓国漢字音①では、「テフテフ」(蝶々=チョウチョウ)の「フ」=「ㅂ(p)」パッチム、旧仮名遣いと韓国漢字音②では「カ」と「クヮ」の違い=「가」と「과」の違い、という紹介をした。
この2つほど明快ではないが、もう1つ、旧仮名遣いと韓国漢字音との間に規則性が見られる音がある。それは
というものだ。
現代仮名遣いで「オウ」と書く漢字は、旧仮名遣いでなんと6種類の書き方に分けられる。一例を挙げると
このうち、旧仮名遣いで「オウ」だったものと「アウ」「ワウ」だったものに注目したい。
この違いは他の段でもほぼ同様に発生し、「コウ」「ゴウ」「ソウ」「ゾウ」「トウ」「ドウ」「ノウ」「ホウ」「ボウ」「モウ」「ヨウ」「ロウ」「キョウ」「ギョウ」「ショウ」「ジョウ」「チョウ」「ヒョウ」「ビョウ」「ミョウ」「リョウ」にもそれぞれ「コウ」と「カウ」、「ソウ」と「サウ」といったペアが存在する。
さて、このように日本漢字音で「ウ」で終わるものは、韓国ではほとんどが「ㅇ(ng)」パッチムを持つ。たとえば
さらに、この中で「央 앙(ang)」「王 왕(wang)」「江 강(kang)」「光 광(kwang)」と韓国漢字音で「ア (a)」「ワ (wa)」の音を含むものは、それぞれ日本語の旧仮名遣いで「央 アウ」「王 ワウ」「江 カウ」「光 クヮウ」と「ア」「ワ」で表記されていたものである。現代仮名遣いは「オ」に取って代わられてしまったが、旧仮名遣いの「ア」「ワ」が韓国漢字音に今も残っているというわけだ。
現代人の我々にとって、漢字の旧仮名遣いを正しく思い起こすのはなかなか難しいが、韓国漢字音の習得や推測に少しでも役立てばうれしい。
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