ある言語学徒

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なりたいオトナ/いままでのさよなら

NHK 教育・Eテレには『みいつけた!』という「4~6歳児向け教育エンターテインメント番組」がある。この番組がとにかく素晴らしい作品であることは,周知の通りである。僕もこの番組を観て育った。大学生になってしばらく経ったころ,この番組と思いがけないかたちで出会い直すことになった。音楽ストリーミングサービスでサウンドトラックを聴いたのだ。「幼かった頃を思い出して懐かしい」とかそういう次元ではない衝撃がそこにはあった。おそらく「ブッ刺さった」ということなんだと思う。 僕はちょうど

    • 僕はいま何をしているのか

      10月が始まろうとしている。僕の友人(と呼ばせてください)たちのなかには,大きなライフイベントを控えているひともいると思う。彼女たちの前途を祝そうと胸のうちでひとり乾杯するとき,自分はいま何をしているんだということにふと思い至る。この問いに対してさしあたりの答えを出し,ここにいない誰かの手の届くところに置いておくのも無駄ではないだろう。そう思い立って,ここにテキストエディタを立ち上げる。 僕が大学院に進学したのは,大学教員・研究者という職業に魅力を感じたから。「生活」と「生

      • 今年の8月8日はハンブルクにいたかった

        ブギウギピアノと僕小学6年生の頃,僕はブギウギピアノに出会った。すべての始まりは,斎藤守也と斎藤圭土が組んでいるピアノデュオ Les Frères が隣町にやってきたことだった。音楽室の前にコンサートポスターが貼ってあったことは知っていたが,わざわざ両親にチケットをねだろうとまでは思っていなかった。ところが,思いがけないことに,ピアノの先生がそのコンサートに行っていた。翌週,先生に会うと,彼らの音楽をきっと僕は気に入るだろうといって,会場で買ってきたという『BEST OF L