ODAプロジェクト スリランカ
少し前の話ですが、2016年日本政府(国際協力機構/JICAが主体)は、100億円を限度とするスリランカ向け円借款(開発政策借款)の調印を、同国政府と行いました。
開発途上国への援助を積極的に行ってきた日本は、スリランカに対しても繰り返し援助・開発支援を行い、同国の発展に寄与しています。
近年では中国の援助(ODA)が目立ちますが、援助相手国の雇用を生み出すか否か、援助後の相手国との付き合い方など手法は大きく異なります。
いずれにおいても政治的要素は多分に含まれますが、日本の存在感は決して薄れるものではない、というのが実際に現地を何度も訪れ、現地に触れた者として感じる部分です。
日本国内で、我が国の途上国援助の実績が語られる機会があまりありません。しかし日本からの援助を受けた国々では、街の人々がその詳細まで熟知していることが多く驚かされます。
タクシーの運転手さんが、こちらがが日本人だと分かると「あの建物は日本が建ててくれた」「あの施設は日本が建設費用を出してくれた」と案内をしてくれることがよくあります。
現在、スリランカの中心都市コロンボ市街地と、空の玄関口バンダラナイケ国際空港を結ぶ高速道路建設を、日本企業が請け負っています。
空港からコロンボへ伸びる高速道路は、2013年10月に部分開通しています。しかし部分開通区間は空港からコロンボ市街地の手前まで。そのためコロンボ・空港間を行き来するには、コロンボ市街の苛烈な渋滞を抜けなくてはいけません。それでも、高速道路がなかった時代と比較すれば、ずいぶん時間短縮になりましたが。
現在日本企業が建設を請け負っている高速道路は、「コロンボ市街地まで、高速道路もう少し伸ばして」と誰もが思っていた願いを実現するプロジェクト。完成すれば空港までのアクセスが飛躍的に向上します。
このプロジェクトで印象的だったことがあります。
建設現場を通ると、建設を請け負っている日本企業名と、日の丸がきちんと目立つ様に掲げられているのです。
これまでも、海外で日本企業のインフラ・技術供与など現場を見る機会がありました。近年は中国や韓国、サウジアラビアなどの国々の援助プロジェクトの現場を多く目にします。
どこの国も、自国の国旗や企業名を前面に掲げていますので、誰が見ても、どこの国が行なっている支援か分かります。でも、日本のプロジェクトは、どこか大人しめというか、やっていることの素晴らしさに対して、アピールは控えめな印象でした。
それが、現在スリランカで行われている高速道路建設現場では、誰が見ても分かる様に日本の国旗と、会社名が前面に掲げられているのです。
主張すべきは、堂々と主張する。
日本人としては、その場所を通る時なんだか誇らしい気分になりますし、現地の人に「お前日本人だろ?オレたちはこの道路の完成を楽しみにしてるんだ」と話しかけられると、私は全く関係してないのですが、なんだか嬉しくなります。
敗戦という困難を乗り切り、「欧米から見て極東」という地政学的にも遠方に位置する日本。
世界でも有数の経済大国ということだけではなく、世界から尊敬を集める豊かな国として、そして国際的影響力を持つ国として認められるようになったのは、このような途上国支援を継続して行ってきたことも見逃せない点です。
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