ブラックピート〜100年放置されたヤシガラは貴重品
私たちが輸入しているヤシガラ培土(ココピート)、どうやって作られているか、過去記事でご紹介しました。
実は、ヤシガラ培土(ココピート)には、↑記事とは少し違う商品があります。
【50年以上放置されたヤシガラ】
過去記事でご紹介したヤシガラ培土(ココピート)に使われるココナツヤシの殻は、収穫されてから1年以内、長くても3年程度と言われています(この辺りは細かい設定がありますが、今回は割愛)。
一方で50年、100年以上経過している、とても古いココナツヤシの殻を原料とする商品があります。
「ブラックピート」「オールドピート」と呼ばれるこの商品は、日本における需要が突出しており、私たちもたくさん輸入しています。
スリランカでは欧米から来たバイヤーと話す機会がありますが、彼らはブラックピートにはあまり興味を示しません。つまり、欧米ではあまり需要がない。日本と欧米の農業構造の違い、培土の違いなどが理由だと考えられます。
ブラックピートのメリットが、日本の市場にはぴったりとハマったと言うことですが、ブラックピートはなにがいいのか。
このお話はまた次回としましょう。
今回は、50年100年という長い年月を経たココナツヤシの殻がどうなるか。
おそらく原料の状態を見たことある方はなかなかいないと思うので、これをご紹介しましょう。
【長期間の放置で完全分解】
↑これは原料業者の敷地内。
前方に小高い丘のようなものが見えます。
あれ、そうは見えないけど、ヤシです。
もう少し近付いてみると…
草に覆われた丘の頂上が見えてきました。
この丘は、全てココナツヤシ殻の残骸。それが長い年月をかけて腐食分解したものです。
丘に登ったところ。
ぱっと見は、土です。
でも、足下はすべてヤシガラなのです。
50年以上という長い年月の野晒し状態で腐食・分解が進み、ほぼ原型と留めていません。
この丘を削りながら、ブラックピートの原料として供給しています。
【ゴミ山が大切な遺産に】
かつて、ココナツヤシは繊維部分がホウキやタワシの原料となり、殻は廃棄されていました。この丘は、かつて廃棄された大量のココナツヤシの殻なのです。
やがてココナツヤシの殻が、ヤシガラ培土(ココピート)として世界中に供給される時代がきました。
廃棄されたヤシガラも、ブラックピートとなり、特に日本からの需要に応える時代が来たのです。
ブラックピートの原料となるこれら廃棄されたヤシガラを持つ原料業者の多くは、代々この原料の丘を引継ぎ、今に至ります。
かつてはゴミ山でしかなかった小高い丘が、今では立派な収入源になり、ここから作られるブラックピートは、日本に届けられるのです。
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