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【読書感想】イヤシノウタ 吉本ばなな
「もしかしたら人類の存続は可能なのではないかと思うようになった。」
絶望をかかえた吉本さんに希望をもたらしたのは、日々の生活のなかでおこる小さな奇跡だった。あるときはペットが、またあるときは旅の途中でそれはおきた。
この本は吉本さんが体験したなにげないことから、奇跡のようなことまでが綴られている。彼女は土地や自然が放つエネルギーに悦びを感じるとともに生き急ぐ人々にたいしてはその余裕のなさに危機感を抱いている。
おそらくそれは幼少期からそうであったとおもう。ふつうのひとが気づかない闇や嘘にこころを痛めいきどおる。でもそんな繊細な感覚はだれにも理解されず苦しみながらも、じぶんの内側にある感性を必死に守ってきた。ところがじぶんを癒しつづけてきた土地や自然のエネルギーが枯れはじめ、さらに人のこころや文化が衰退。そしていつしか人類の存続に可能性を感じなくなっていた。
そんな吉本さんだったが、大人になるにつれてじぶんにしか関心をもたない生き方を卒業する。他人をおもいやることで少しずつ孤独感に悩まされなくなる。そしてささやかな奇跡がときどき彼女のもとをおとずれた。
ここからはわたしの感想。わたし自身も土地や自然が放つエネルギーを強く感じるとうれしくなる。でも吉本さんとおなじように自然のエネルギーは弱り、人間も見た目ばかりが派手で生命力に欠けるコンビニ弁当みたいな奴がおおくなったと感じる。そしてそんなひとと居るとすごく疲れる。
そのような経緯もあり私はひとりを好む。唯一の楽しみは自然や土地のエネルギーをからだで感じながらじっと過ごす時間だ。でもざんねんながらわたしはいまも人類の存続に希望をもてないでいる。