やめる練習がたりていない私は、いったいどこへ向かっているのだろう
初志貫徹
その道のプロフェッショナル
忍耐と気合で困難を乗り切る
ずっと続けることがいいんだと思っていました。
習い事は部活動が忙しくなって物理的に行けなくなってしまったそろばん塾に8年通って月謝不要の特待生まで上り詰めたし、運動系の部活動に所属していた私は原因不明の蕁麻疹が定期的に出てしまうくらい精神的に追い込まれていたけど、中高校と6年間引退まで歯を食いしばってがんばった。
仕事だって、メンタルやられたけど新卒からずっと同じ会社で働いている。
私にとってそれが唯一の「正しい道」だとずっと信じこんで生きてきたし、両親にもそういうふうに教え込まれてきました。
そんな私が、昨年ふとしたきっかけで手にとった本
日本人は「やめる練習」がたりてない / 野本響子
著者の野本さんは息子さんとマレーシアに移住し「やめる」ことの身軽さに驚きつつも次第に受け入れていったのだそう。
マレーシアは様々な人種や宗教、言語がひしめく東南アジアの新興国。
インターナショナルスクールに通った息子さんが「学校生活は選択の連続だった」と言っていたように、すべて自分でやるかやらないかを決めて選択し結果を引き受けていく。自分に合わなかったら別のことをやってみたっていい。
トライ&エラーを繰り返し、自分の適性を知っていくことを小さい頃から練習するのだそうです。
大人になっていきなり社会に放り出されて何やっていいかわからなくなってしまうなんてことはきっとないのでしょうね。
「ハッピーじゃないから」
「家族と過ごす時間が少ないから」
会社をやめても転職回数はデメリットにならない寛容な社会がこの世界のどこかにあるという現実。
そんな自由な生き方があると知り、ガツンと頭を殴られたみたいに衝撃的でした。
あぁ、そんなことがしてみたい
心からそう思いました。
まずは何からはじめようか。
キョロキョロと周りを見回したところ、身近なところにやめることを難なくこなしているお手本がいたことをすっかり忘れていました。
夫
そう、わが夫(近い)
彼は3度、転職経験があります。
1社目 システムオペレーター(全国規模)
そこそこ大規模の企業で社会人の基礎を学ぶ
2社目 営業職(全国規模)
出張多めで日本中を旅気分
3社目 営業職(県内規模)
県内各地に営業拠点を設け人脈を築く
そして現在
過去の経験を取捨選択して自分の血肉とし、フリーランスとして活動中。
日本の社会構造上、この転職回数が多いのか少ないのかわかりませんが、ずっとひとつの会社で働き続ける私からしたら
「すごい武器を持った賢者がいる」といったかんじ。
新しい場所に飛び込む勇気
新しいことを学ぶ柔軟性
新しい環境での人間関係構築
私が長い間ずっとして足踏みしてやってこなかったことをやって退けたのです。
すべて私との結婚後、出産してからの出来事でその様子があまりに軽やかだったのですっかり忘れていました。
やめることに慣れていなかった私。
やりたいこと・やらなければいけないと思うことをプラスしていく日々でいっぱいいっぱいでした。
昨年の休職を経て、会社の中での役割を少しずつ整理して部下に引き継いでいるところ。(会社をやめる予定は今のところありませんが)
家庭では私がやらなければいけないと思い込んでいたことを少しずつ手放していますが、まだまだやめることはありそうです。
その空いた余白になにを詰め込んで、いったい私はどこへ向かっていくのでしょうか。
本能のおもむくままにゆらゆらと彷徨っている最中。
漠然とした未来への不安と、まだ見ぬ世界への期待との間で。