少人数体制で、顧客体験をkeepし最大成果を出す。 バクラク新プロダクトのクロスセル施策ご紹介
この記事は、6月から始まっている #LXベッテク月間 34日目の記事です。 前日の記事は @ken5scal さんの「LocalStackを用いてローカル開発のシークレット管理をセキュアにする」でした。
こんにちは。LayerX バクラク事業部 カスタマーサクセスチームの池田(@sayurii_cs)です。LayerXでは、koyurinと呼ばれています。
本記事では、2022年4月より重点的な取り組みを開始した、バクラクのクロスセル施策についてご紹介します。
結成1年以内のCSチームにおけるクロスセル施策や、複数プロダクトを展開する事業においての新規サービスリリース時の施策の参考になれば幸いです。
これまでのクロスセルへの向き合い方
バクラクにおけるクロスセルとは、主に「バクラク請求書」を利用中の既存顧客に「バクラク申請」を追加導入いただくことを指しています。
※その他にも、バクラク申請の「支払申請」機能のみを利用中の既存顧客が、事前稟議機能を追加導入するパターンなどもあります。
2022年3月までは、サービスリリース1年・CSチームは結成1年以内ということもあり、意図的にカスタマーセールス(クロスセル担当)専任を置いていませんでした。
そちらの経緯は以下で解説しておりますので、よろしければご覧ください。
2022年3月までは既存顧客からのインバウンド起点に、1:1でサービス紹介・ご提案を行うリアクティブな対応にとどまっていました。
2022年4月にカスタマーサクセス組織内に、既存顧客向けのマーケティングとセールス活動を担う「カスタマーセールス&マーケティングチーム」を置き、私が1人目のメンバーとしてアサインされました。
バクラク経費精算のリリースが大きな転換点に
バクラクの特徴として、「バクラク請求書」と「バクラク申請」という業務上シームレスにつながるサービスを提供していることから、併用率が非常に高いサービスという特徴があります。(他社SaaS出身者からみても、非常に高い水準です)
そこに2022年5月にバクラクシリーズの最新サービスとして「バクラク経費精算」がリリースされ、早くもクロスセルにおける大きな転換期が訪れました。
リリース直後で、競合比較すると開発待ちで不足する機能も非常に多い中で、既存顧客からの問い合わせ・トライアル希望が殺到したのです。
具体的には以下のような反響があり、今までの延長線上のオペレーションでは抱えきれない状況となりました。
リリース直後のオンラインセミナー2回で、計120名以上の参加者(リリース前予想の3倍以上)
そこからの商談化数も予想を超えるハイペース
また、2022年6月中の契約で割引適用となるキャンペーンも用意しており、弊社の対応リソースによりキャンペーンにアクセスできず、お客様の機会損失になることは避けたいと考えました。
リリース直後から、以下にフォーカスした取り組みを行う必要がありました。
バクラク経費精算リリース(5/13)〜キャンペーン適用期間(6/30)までに
関心のある既存顧客にできるだけ多くサービスのご紹介を行い
具体的にご興味をお持ちいただいた場合は商談を行う
ソリューションフィットする場合は、1-2週間のトライアルいただき導入可否判断する
顧客体験を保ちながら、最大成果を出す施策
キャンペーン期間にフォーカスした施策を上げるにあたって、以下が挙げられました。
既存顧客の反響に対し、商談リソースが足りないおそれがある
1の課題に対しCSMが商談実施する案もあったが、a、bの懸念があり6月中のクロージングに間に合わないおそれがある
(a) セールス経験の有無に差がある(が、トレーニングする時間がない)
(b) 新サービスの機能やその背景となるお客様業務の知識が足りない(が、キャッチアップが間に合わない)
上記の課題に対応するべく、以下の作戦を取りました。
1. 「サービス紹介」「基本機能のデモ」はセミナーに集約する
専任としてリソースを割けるのが池田のみという状況で圧倒的に商談工数が少ないため、1:1の個社商談を実施すると、サービス紹介だけでリソースが埋まってしまい、トライアルのサポートが行き届かない可能性がありました。
また「早くデモを見たい」という温度感のお客様をお待たせしてしまう可能性が高かったので、セミナーへ全て集約するようにしました。(本取り組みの中で、ここが最もBet Technologyだと感じています)
セミナーは既存顧客向け限定でありながら、5/13-6/30の1ヶ月半で実に「5回」も開催しました。
リリース直後のセミナーの感触で、既存顧客はバクラクの特徴を既に理解しており、特に初期にご関心いただける方においては、既存サービスとの連携や他社経費計算サービスとの差異についてご質問いただくことが多いという特徴を掴んでいました。
その観点より、1:1商談で担保できていた「疑問点の解消」をなるべく損なわないよう、全体60分間のうち20-30分程度、質問時間を多く取るタイプのセミナー構成にしました。(一番多い回では20件以上の質問に回答しました)
質問タイムを多く設けることで他社の検討軸を参考にすることができるメリットも生めたと感じています。
(補足:5月以前はクロスセルのためのウェビナーは一度も開催したことがありませんでした)
2. 商談化基準を一時的に厳しく設定する
1の施策を前提とし、1:1の個社商談については、「サービス紹介を終えた前提での個社に合わせた提案やトライアル案内」以降に限定しました。
また、キャンペーン適用の機会損失を防ぐため、7月以降契約見込みの既存顧客はキャンペーン終了後に商談化とし、あくまで「キャンペーン適用希望=(導入する場合)6月以内に契約希望」の既存顧客のみを商談化ターゲットとしました。
商談確度やチーム内周知のため以下の対応も行いました。
セミナー参加顧客への追客(コール・メール)※このタイミングでIS(インサイドセールス)からの異動メンバーがいたため、参加者へのコールも実施
CSMからの商談化基準にも適用。導入希望時期(キャンペーン適用有無)に合わせて、スクリプト/メール文面を用意
3. 商談担当(カスタマーセールス)を絞る
従来は顧客担当のCSMがそのまま(よしなに)商談対応することが多かったのですが、リリース直後は経費精算サービスの業務理解・機能把握と、6月中のクロージングを優先する必要があり方針変更を行いました。
標準化・型化を意図的に遅らせ担当者を絞ることにより、知見を集め、売り方の仮説検証を進めていくことを優先しました。
リリース当初(5月-6月頭)は池田に全体の件数のうち8割程度の商談を集約し、ほか商談可能なメンバーに数件ずつ割り振りました。
その代わりにサポートや案件化につながるトスアップ精度を高めるため、CSM・カスタマーサポートメンバー向けに、プロダクト・顧客業務理解のため別途勉強会を実施しました。
施策の結果
キャンペーン開始前の4月と比較し、6月の受注件数・金額は4月度の5倍を超える着地となり、圧倒的ギネスとなりました。
経費精算単体の受注が目立ちつつも、バクラク申請の他サービスの導入も後押しし全体の受注件数・金額を大きく牽引し、全体の受注MRRの引き上げに貢献する結果となりました。
限られたリソースの中でCS、事業全体で追う指標としての「追加MRR」「NRR」を支えることができる成果を出すことができ、今後事業部としてもさらなる注力領域として取り組んでいきます。
最後に
まだまだ商談化〜受注までの施策にとどまっており、手探り状態です。市場にカスタマーセールス(クロスセル)関連の記事がまだ少ない中で本記事がいつかどなたかの参考になれば幸甚です。
また、本記事へのご感想・ツッコミ心からお待ちしております!加えてカスタマーセールスやカスタマーマーケティングについて情報交換させていただける方との出会いも熱烈に欲しております。
LayerXのクロスセル・カスタマーマーケ、助けてあげるよ!という方もお待ちしておりますmm
本記事も、LayerXに興味を持っていただけたら……という下心があることを正直に告白します笑
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