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生と死の狭間で揺れ動く心



ここ数週間大きな浄化の嵐。

封印していた心の傷が剥き出しになる。


悲しみや悔しさなどの感情が今になって溢れ出す。




リハビリマッサージの仕事で出会った患者さん一人一人の姿が鮮明に浮かび上がる。


亡くなった時は、辛くて悲しい。

だけど、ずっと引きづっているわけにはいかない。

気持ちを切り替え、目の前の患者さんに集中して記憶から抹消していった。


お葬式にも行けなかった。

亡くなったという現実を受け入れたくなかった。


そうしないと、この仕事を続けていく自信がなかった。


毎週施術に入り、入社してから何年もお付き合いしていると、沢山の思い出がある。


泣いたり笑ったり、

真剣に患者さんとは向き合ってきたからこそ、

深い絆と信頼関係が築けました。


私の信念はどんなことがあろうと、
患者さんの味方でいる事でした。


要望に出来るだけ応えたいと思い、
無理なスケジュールをこなしていました。


なぜあそこまで夢中になれたのだろう??


私にとって、生と死は特別なものであり、死の直前まで大切にしたいという思いが強かったのです。


リハビリマッサージで回復して、卒業出来る方は数人。

後は、現状維持か進行を遅らせることが目的となります。

寝たきり、歩行困難の方が対象なので仕方ありません。

それでも良くなるという希望をもって施術に取り組みます。


だからこそ、奇跡はおこります。


脊椎損傷で首からしたの神経が麻痺していた患者さん。

全身硬直拘縮変形が進んでいました。


お医者さんから一生治らないと宣告されたそうです。

6人部屋の病室で、まわりを見ると手足が細く、意識がもうろうとしている患者さんばかり。


ここにいたら、いづれ自分もあんな姿になるかと思うといたたまれなくなったそうです。


それで退院され自宅介護を選ばれました。


週4回リハビリマッサージと2回通院のリハビリをこなしていました。


半年で指が動くようになり、喜んでいました。

大きな希望の光が見え始めたのです。


そこで来年の夏には実家に帰りお墓参りに行くという目標を立てました。

車椅子に乗るためには関節の屈曲と在位保持が必要になります。


かなりハードルは高かったのですが、
患者さんの意欲の強さがまさり、
関節の拘縮が少しづつ改善され、90度まで曲げられるように。


その後、車椅子でのリハビリが出来るようになり、無事に実家に帰省できたのです。


そして、また新たな目標を立てました。

自分の力で立つこと。


その為には、手足の筋肉だけでなく、背筋腹筋も必要になります。


この患者さんが凄いのは、筋肉トレーニングを夜中に自主的に行っていることです。

動く部位を使って振動させ、
徐々に動く範囲を広げていきました。


5年後には立つという目標達成され、

車椅子も足で漕ぐタイプに切り替え、

病院を自由に走り回わり、

入院していた時にお世話になっていた看護婦さんに挨拶に行ったら、
みんな驚いていたと嬉しそうでした。


病院の先生から奇跡の回復だと称賛され、医学会の症例発表されました。


本当に凄い患者さんです。

それも当時82歳。


私に勇気と希望を与えてくれました。


こうした患者さん一人ひとりから沢山の恩恵を頂きました。


昨夜思い出しただけで、胸が熱くなり、感謝の気持ちでいっぱいになりました。


四肢麻痺で寝たきりになり、

手足の感覚がない時も冷静でいられのは、

リハビリを続ければきっと良くなると信じることが出来たから。


患者さんの生きる姿は、

全て私の糧となりました。


リハビリマッサージを始めて、

直ぐに出会った患者さんでしたから、

特に影響力が強かったのです。


天職かと思えるほど、打ち込めました。


今もリハビリしながら、その患者さんの言葉が浮かんできます。


"手足の感覚は無くても、指先を目で確認しながら動かすことに集中したら、指が動かせるんだ!"

"それを繰り返していると、
おにぎりを掴んで食べられるようになった!"

自分で食べるおにぎりは、とても美味しく感じたそうです。


私も真似してみました。

すると、本当に出来ました!


私のリハビリの師匠はその患者さんなんです。


患者さんの経験と実績のお陰で、
今の私がいます。


全ては必然であり、
こうして生かされています。

生と死で揺れ動く心。

そこに真摯に向き合うことで、
深いところまで浸透して、
必要な時に必要な情報が引き出されます。


今ようやく、
封印していた悲しみの感情が溢れ出し、
味わい尽くしています…




今日も素晴らしい日を有難うございます🍀












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