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おっさんずラブリターンズ 愛に包まれた結婚式 〜Lovin' Song〜たからもののうた

※文中、スキマスイッチ『Lovin' Song』の歌詞を引用させていただいています。

正直わたしのはただの自己満なんだから、もっと素敵な感想やブログ書いてる方いるし、おっさんずラブについてnote書くのやめようって思ってた。 

あの結婚式を見るまでは。

プロフィールにも書いてるし、何回もnoteに書いてきたように私はろう者だ。音が聴者の方のように聞こえないわけだから色々推し活にも当然壁がある。その一つに推しが出ている作品の主題歌やテーマ曲、劇伴が聞き取れないということがある。街中やほかのテレビ番組で劇伴流れてた!と気づくこととか、ドラマのクライマックスに主題歌が流れて感動ということはほぼない。なんかのときに主題歌が聴こえてきてドラマを想起するのも難しい。村上春樹の『ノルウェイの森』冒頭みたいに、主人公がかの曲をきいて過去を想起する、なんてことは私には起こり得ない。

…そう思ってた。
あの結婚式で『Lovin' Song』をきくまでは…

推しが主演の『おっさんずラブリターンズ』6話。
主人公の春田と牧の結婚式があった。
前日には公式さんからSNSを通して招待状も届き、お祭り状態。

私なんか二人のためにお花をいけちゃった。
ドラマの2人のためにいけるなんてあなたは笑うだろうか。

ドキドキしながら迎えた結婚式の回。

仕事で忙しい牧が打ち合わせに来れなかったり遅れたりしてこの先やっていけるのかとマリッジブルーになる春田。
鉄平兄に自分たちも価値観が一緒じゃなかったと後押しされ、牧も牧でマロに春田さんには牧しかいないと後押しされ春田の元へ夜のとばりの中駆け出す。あかるく眩しい光の中、部長に後押しされて駆け出した5年前の春田と対称となって。なんなら向きも対称だった。
家でウェルカムボード用の過去の写真を見ながらいろんなあの時この時を思い出し、おそらく牧への自分の中の愛情を再確認して泣く春田。そこに映し出されたのは私たちが目撃した二人のさまざまなシーンだった。ここで前回の主題歌のスキマスイッチの『Revival』がかかったという。そりゃ泣ける。この曲は2018年のあの時この時と密接に結びついている。多くのひとの涙腺のスイッチを彼らの歌は押したに違いない。
もちろんわたしも泣いていた。でも彼らの音楽の力によってではなく、映像の力によって泣いていた。
ああこんなにも色んなことを乗り越えて今があるんだなって…。すれ違いもあった。涙もあった。それと同じくらい笑顔もあった。愛情表現もあった…。
そして春田の元へ愛するひとはたどり着いて。
お互いの相手への愛が揺らぎのないことを確認する。チョコの好みでまた一つ価値観が違うことに気づくけどそれも気にしない。

そうして迎えた結婚式。ここからは初見ではなく2回目の視聴の話をしよう。
この回の監督のSNSからこの結婚式のまさにこの時にスキマスイッチによる主題歌『Lovin' Song』がかかったことを知った。SNSでも多数の人が呟いていた。その直前に『Revival』がかかったことも知った。

なんとしてでもこの感じ、無理だろうけどわたしも知りたい。みんなと同じように感じたい。
私はあがいた。
夫の耳を覆うタイプのヘッドホンを借りて、大音量で聴こうとした(ホントは単に大きくしても受信するところに障害があるから聞こえないけど)。手元にはスマホにふたつの歌の歌詞を表示させていた。私は補聴器が増幅する音と、視覚化された字幕や歌詞の合わせ技でなんとなく今これを喋ってるな、歌ってるなというのがかすかにわかる時がある。歌なら歌手本人が歌ってる口の形を見るのが一番わかるかもしれない。
なので口の見えない形はハードルが高い。
(追記:執筆時点でスキマスイッチ公式によるMVなどは歌唱シーンはたぶん未発表。2/14 21:00にMVが発表される予定なのでそこで口元が観れるシーンがあるかも?)

もともと『Revival』は歌詞が聞き取れないことは前からわかっていた。なんか曲は流れているのがわかるがどうやっても曲も歌詞も聞き取れない。どんなに歌詞をみてもどこを歌ってるのかわからない。今回もやはり聞き取れなかった。歌詞からしていい歌なんだろうなと思うのに悔しい。

そして。結婚式。いつも大雑把なのに最初の足が揃うかどうか珍しく心配する春田。違っていてもいいと珍しく気にしない牧。目がこわばりガッチガチに緊張していた春田はそこでほぐれて、すっと美人になる。
白い靴を履いた二人の足は足も向きもキレイに揃い、手を結んで真っ白なバージンロードに歩き出すー
ここでもう視覚的に美しいのですね。
初回美しいな、幸せだなと泣いた。

2回目の時、ヘッドホンと補聴器と二重に通ってうっすらと私の耳に届いた。

『♪僕らは愛し合い』

幻聴だったのかもしれない。でもたしかに聞こえた『Lovin' Song』の歌詞の出だし。
スローな二人の歩調。メトロノームのようにしっかり揃っていく。前に進んでいく。

『♪思いやりのテンポを刻むメトロノーム
時にはすれ違う
優しさを忘れたワガママなハーモニー』

すれ違いばっかりだったなこのカップル。
時にはお互いの我儘もあったけど。
みて。こんなにみんなに祝福されて、笑顔でいる。春田は大きな口をあけて。牧は少し控えめだけど全開に笑っている。堂々と人前で誓いのくちづけをかわしている。

『♪出逢いが織り成すラブソング 幾千の音符が紡いでいく
隣り合う音の奇跡 それはきっと、偶然じゃない…』
わたしはいま音符の紡ぐ音の奇跡を感じてる。
聞きたいあまりの幻聴かもしれないけど、どこを歌ってるのかわかる気がする!
6話目にして私は主題歌をわかった。素敵な歌だと思った。 

『♪ありったけの愛の言葉を僕は抑えきれない!
荒削りなフレーズでも溢れ出した素直な想い
たとえ声が枯れようとも
歌うよ 歌うよ Ah Ah 君のために
ああ僕らだけのメロディー…』

途中から台詞が重なって聞き取れなくなったけど
私の心の中に歌詞は染み通って、宝物になった。

今回『Lovin' Song』を感じ取れた最大の理由。
それは台詞がないことだ。
ドラマの主題歌は当然ドラマの中でかかるから台詞にかかることがほとんどだ。
台詞と背後にかかる音楽を聞き分けることは私には無理。輻輳してるからだ。
でもこの結婚式は最初から最後まで台詞がなく。
披露宴のシーンでようやく台詞がある。
正直私は2018年、部長との時は言えなかった誓いの言葉を見たかった。リアルでも結婚式見るの好きなので、最初からさいごまで一部始終見たいと思ってた。指輪を相手にはめる二人の顔をみたかった。

でも。Yuki Saito監督の上記SNSからして、主題歌をすごく大切にしていることが分かる。
どのタイミングでかけるか、その音楽のもとで何を見せるか。
前回は書き下ろしでははなかったけど、今回はスキマスイッチによって書き下ろしされた主題歌。このドラマの世界観をよく知っている二人が書き下ろした歌。

監督はその歌に更に言葉を重ねることを選ばなかった。
音楽に乗せて二人の幸せそうな表情を映し出した。指輪をはめられる美しいふたりの指を映した。優しい色のタキシード姿を映した。
周りの人の祝福を映し出した。フラワーシャワーのきらめきを映した。あるいは笑ってない武川とおっかね!となる春田を映し出した。 

音楽と表情だけなのが、それがなんと印象に残ることか。
この幸せな日を土台にふたりはこれからを歩いていくんだ。

この結婚式の尺について思うことが多い人も多いだろう。わたしも見る前はもっと長いのではと思っていた。

でも。結婚式はあくまで通過地点。これから死が二人を分つまで、どう価値観を積み上げていくか。どんな思い出を積み上げていくか。そっちの方はハードルは高いし、積み上げるのに疲れて別れを選ぶ人もいる。
二人の絆はとても固い。
でも法律的な結びつきやあるいは子どもというカスガイがないからそ、二人は価値観の擦り合わせがより重要になってくる。
お互いの気持ちが大事になってくる。
それは異性間でも大事なことではあるけれど。

だからあえて最終回に結婚式をもってこず、あえて残り数話でその後の二人を映し出すのだ。通過点だからあっさりなのだ。そう私は感じた。

そして、誓いの言葉を被せず、歌だけを流してくれたから、私は主題歌を奇跡的に感じることができた。
だからこれがわたしにとっては正解だった。
頭の奥がつんとした。涙がぽろりと落ちた。
目を閉じると
『僕らは愛しあい♪』と母音多めで明るい出だしと共に、二人の迷いのない確固たる足並みと白に包まれたスラっとした背筋が想起される。
主題歌とドラマのワンシーンを感じ取れる幸せ。だったこれだけで私は幸せになれる。
私は宝物をもらった。

なお、おなじスキマスイッチなのに『Lovin' Song』はわかって、『Revival』ではできないはなぜか。
ファン仲間に聞いた。どうしてだろうと。
そしたら彼女は『Lovin' Song』はバラードでスローテンポだからではないかと分析してくれた。『Revival』は刻まれる言葉の数が多くて早いよと。
そして『Lovin' Song』がピアノが多めだよ、『Revival』はシンセサイザーとかギターが多いよと。私は電子音とかこの楽器は苦手なのだ。ピアノは鍵盤の真ん中らへんの音だとかろうじて補聴器で聞き取れる。それもあるのかもしれない。

人間の耳は複雑だ。
「聞こえない」と言っても、一律に無音の世界ではない。聞こえ方も違う。眼鏡をかけている人が、視力も違うし、近視だったり遠視だったり、老眼だったり、乱視だったりするように。
補聴器の進化のおかげで何か音がしてるのは分かる。わたしも補聴器をとったら全くの無音の世界だし、補聴器でも聞き取れない人もいる。
補聴器を通した私の音の世界はまだらでぼんやりしている。何か放送してるな、テレビの音がするな、男の声かな?子どもかな?はわかるけど、何を話されているかはわからない。手話や文字(字幕)でないと分からない。
でも、たまに僅かに残った聴神経の波長が合うのか?はっきりと聞き取れるような気がすることがある。自分の頭が作り出した幻聴かもしれない。

聞こえないことが当たり前なので、少しでも聞こえることが善とかいう話ではない。聴覚障害を乗り越えてという言葉は私は好きじゃない。

でも。なんとしてでも感じたい、知りたい、という想いが成せる技、なのかもしれない。


最後に。春田創一さん、牧凌太さん、
ご結婚おめでとうございます。
二人なら大丈夫。
Forever love!

2024.2/14追記
MVが発表になり、Youtubeに自動字幕が出るのと、口の形も見えるので更に今どこかというのがわかり心が震えてます!
自動字幕がでるようにしてくださり
少しずつ時代は変わってきてるんだな、と。


監督のポスト「通過点」ですね✨✨


リバオケの時の話


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