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凪日報(2)寿司時々にゃおばぁ

起きて2秒で仕事に行くのがだるい日だとわかった。
体の調子は良いが仕事となれば話は別だ。休むかどうか葛藤する。結局仕事に行く事にする。だるい。メガネとデジタルウォッチを忘れた事に気づく。おそらく僕の戦闘力は3分の2まで下がっているだろう。
施設でご利用者様が使ったエプロンを干しに行く。頭に蜘蛛の巣が引っかかる。上を見上げるとでっけぇ蜘蛛の巣にでっけぇ蜘蛛がいた。戦闘力が全開なら退治しているところだが見逃す。
腹いせに昼休みに寿司を食う事にした。
もちろん回転寿司。20皿食べた。だいたい2500円くらい。外食を全くしない僕の一回の食費の訳5倍。やってやったぜ。職場の同僚もまさか昼休みに寿司を食ってきたとは思うまい。
寿司のネタが小さくなっていた気がしたがもしかしたら僕が大きくなっている可能性も捨てきれないなと思いながら午後の仕事を始める。
僕は施設で介護の仕事をしている。隙を見てご利用者様、もといおじいちゃん、おばあちゃんと戯れている。ホールでテレビを見ている車椅子のおばあちゃんにしれっと近づく。おもむろにおばあちゃんの顎に手をやり、猫にやるそれの様にわしゃわしゃする。するとおばあちゃんが「にゃーお」と鳴き声をあげる。これが僕らのお決まりのやり取り。僕はこの人をにゃおばぁと名付けている。
にゃおばぁは夕食後、野球を観るからまだ寝ないと居室に帰るのを拒否していたが少ししてから様子を伺うと完全にうたた寝していた。この自由さが長生きの秘訣かもしれない。
にゃおばぁが居室に連れて行かれるのを見送り1日が終わる。じゃあな、にゃおばぁ。長生きしろよ。

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