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のだりの読書記録「転の声」

尾崎世界観著「転の声」を読み終えた。
ネタバレになるが少しだけ感想を書く。
転の声の世界では定価かプレミアかが重要なポイントになる。
終盤ではカリスマの炎上を機にカリスマ、カリスマのライバル、ファン、アンチが入り乱れカオスに向かってゆく。
プレミアがバブルのように膨れ上がり最終的にはバブルが弾ける。その様が僕にはそうなるよなと納得感があって良かった。
主人公はプレミアや無観客ライブと密接に関わっている様で結局は蚊帳の外にいる。ラストで自分の醜態にファンがついてる事に気づき、自分の思い描くプレミアとは真逆の無機質な定価の目を向けられる。
そのラストは自分が醜態だと思っているものにも価値を見出す人がいるという諦めに似た安堵を感じる一方で何にでも価値をつけられてしまうその残酷さ自分の醜態を期待されてる悔しさが流れ込んでくる。
著者の尾崎世界観はラジオアプリGERAのダブルスタンダードという番組で転売ヤーを肯定し尽くして殺してやろうと思ったと言っていた。
まさにその言葉通りの物語。
価値に踊らされている人間たちの描かれ方が妙な納得感をくれる。
その納得感が自分には心地よかった。

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