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小説

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ショートショート、短編小説、小説、尾崎ニシダラジオに送ったショートストーリー等。 不定期で書いたら載せます。
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なんでも文学化「マリアのマイク」

なんでも文学化「マリアのマイク」

鈴木さんが来る。
この鈴木さんは特別な鈴木さんである。東京の不動産屋で働いて3年。ただの内見にここまで緊張しているのは初めてだ。
先日鈴木と言う名前のお客様が現れた。
その姿を一目見て確信する。セクシー女優のマリアだ。店に入り帽子とサングラスを外す。画面越しに何度も見ていたままの姿のマリア。僕は突然の出来事に二つの意味でガチガチになった。ただ僕がファンである事を悟られると警戒されるかもしれない。た

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大吐露「代償」

大吐露「代償」

二十歳になっての初めての夏。よくある小説に出てきそうなうだる様に暑い日。僕は車の免許を取る為に教習所にいた。
高校を卒業したばかりと見られる若い男女を見て思う。うるせぇな。しょんべん臭いガキ共が。ただでさえ暑いのにさらに体温が上がる。
ペットボトルのお茶を一気飲みする。空になったペットボトルに苛立ちさらに体温が上がる。
「次は教室に移動してください。」
係の人の案内に従う。移動の合間にさらにお茶を

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大吐露「肌触り」

大吐露「肌触り」

僕は上田くんと仲が良かった。
小学校のころよく遊んでいた上田くんは中学に上がると不登校になってしまった。
小学校からの友人達が遊びに誘っても誘いに乗らない上田くん。そんな中僕の誘いにだけは応じてくれていた。学校に来いよとも言わずただ普通にゲームをするだけの僕が楽だったのか、何故僕とだけ遊んでくれるのかはよくわからなかった。ただその時間はお互い心地よかったように思う。
ある日学校の先生が上田くんと僕

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短編小説「確認」

短編小説「確認」

母と父が離婚し3年。
18歳の僕は高校を卒業した。地元を出て大学に通っている。新たな環境、新たな人間関係、そして一人暮らし。新生活への不安や期待は不思議と薄かった。代わりに僕の中心にあったのはあの人たちの言葉は本当なのだろうか?という疑問だった。

僕は人見知りだ。何故こんなに人見知りなのかは自分でもわからなかった。コンビニの店員さんと話す事にすらいちいち緊張していたし、飲食店でメニューを注文する

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