【読書】関谷直也「災害情報: 東日本大震災からの教訓」
「災害情報」という本を読んだ。手厚い。マスメディアや現場を批判的に論じる姿が上から目線の印象で、また各用語の定義が本来の定義とは微妙に違っている気がして(用語の定義を引用するときは原典をあたるべきだと思う)、今ひとつ好みではなかったが、興味深いポイントもいくつかあった。それは少しの言語表現の違いで人々の行動は大きく変わるということである。例えば、「小規模な火砕流」という表現は火砕流の深刻さよりも小規模であることを強調する表現になってしまっているため、住民に避難を促せない。小規模という言葉を付け加えたのは一般市民がパニックになるのを防ぐためだということだが裏目に出たようだ。こういった点を考慮すると災害時の行動を検討する上で心理学的知見も大切なのだろうなと思った。