音好

本を読んだり映画を見たり美術館に行ったりしています。

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最近の記事

【映画】パストライブス

「パストライブス」という映画を見た。素晴らしい。男女が別れるシーンにて、男性は平坦な道を歩いていくが、女性は階段を登っていく。それだけでこれから女性がステージを登っていくような人生を歩むことが示唆される。冒頭の意外性も最高だったし、こんな映画的なシーンを見れた。満足度の高い1作であった。

    • 【歌舞伎】女殺油地獄

      「女殺油地獄」を拝見した。中村隼人が素晴らしい。所々、片岡仁左衛門に見えて驚く。再演は絶対にしてほしいし、当たり役になるに違いないと思っている。南座で前の方だからとオペラグラスを持ってこなかったが、オペラグラスをもって演者の表情をもっと至近距離から拝見したいと思えた。次の公演が楽しみである。

      • 【歌舞伎】ヤマトタケル

        スーパー歌舞伎のヤマトタケルを拝見した。市川團子、素晴らしい!少し前は染五郎君と一緒に軽やかな三社祭を魅せてくれたと思いきや、今作は主役。この成長・変化を観ることができるのが歌舞伎的醍醐味である。とにかく市川團子出演を観ることができてよかった。

        • 【映画】PERFECT DAYS

          映画「PERFECT DAYS」を拝見した。素晴らしい。単調な生活を繰り返すだけなのに、人との相互作用のランダム性によって日々が新鮮になる。あれほどルーティーンを大切にするであろう主人公が「同じなんてあり得ない」と力強く断言する様子は、妙な説得力があった。終始東京が描かれるが、まるでロードムービーを観たような印象を受けた。

          【読書】渡辺努「世界インフレの謎」

          「世界インフレの謎」という本を読んだ。面白い!。コロナで体験消費からモノ消費へと移行したのに、モノを作るための工場などは簡単には増設することができないので、モノの供給が不足する。その結果、コロナ禍後にインフレが生じているという指摘、なるほどなと思った。逆に体験消費が減ったから余剰供給の分だけ値下がりしても良いものだが、体験消費の場合はその費用の多くが人件費なので最低賃金の問題もあって簡単には値段を下げられない。結果、トータルでもインフレが生じているのだという。現在進行系の事態

          【読書】渡辺努「世界インフレの謎」

          【読書】上野千鶴子「情報生産者になる」

          「情報生産者になる」という本を読んだ。本を書くときは出し惜しみしてはならないと主張されている通り、出し惜しみなく記されていたと思った。特にゼミでの資料のフォーマットは本で公開して良いのかとさえ思えた(66ページ)。ゼミで扱う本を毎年変えるというのもすごい。 その他、数字でものを言う研究者は極端な値は捨象して考えるが、インタビューや文献調査でものを言う研究者はむしろその極端な値に着目して色々と考えるというのはなるほどなと思った。

          【読書】上野千鶴子「情報生産者になる」

          【映画】ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE

          「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」を拝見した。3時間の映画と聞いて戦々恐々だったが、あっという間の3時間。何ならもう終わりという気持ちになった。CGでやってしまっても良いのに、自分の身体で演じる。乗り物に乗ったほうが速いのに、自分の足で走る。技術が発達している世の中だからこそ、トム・クルーズの身体性を大画面で観ることができてよかった。

          【映画】ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE

          【読書】武田砂鉄「開局70周年記念 TBSラジオ公式読本」

          「TBSラジオ公式読本」を今更ながら読んだ。発売当初に購入して、そこからずっと積読になっていた。締切のある図書館本から先に読んでしまう。 永六輔さんと一緒にラジオをしていた外山・長峰のお2人が、永さんの気持ちを引き継いでいきたいと話しているのは心強い。そして、大沢悠里・生島ヒロシが、スポンサーは自分で取ってくるものだという独立心を持っているのも強いと思った。自分の番組のファンをスポンサーにしたりすることで、言いたいことを言いやすい環境を作っていくのだろうか。 1つの色に染

          【読書】武田砂鉄「開局70周年記念 TBSラジオ公式読本」

          【美術館】デイヴィッド・ホックニー展

          「デイヴィッド・ホックニー展」に行った。面白い。一点透視図法では画家の視点を固定した上で対象を眺めた様子を書くので構図が分かりやすいが、後半の作品では色々な視点から見た絵が書かれるのでちょっと酔った。キュビズムほど極端なら自分の視点はどこにあるかなんて意識できないけれど、ちょっとだけ視点をずらしたような作品であると違和感が酔いに転換されてなぜか心地よかった。新しい視点で絵を見ることができて面白かった。

          【美術館】デイヴィッド・ホックニー展

          【読書】山本文緒「無人島のふたり」

          「無人島のふたり」という本を読んだ。「120日以上生きなくちゃ日記」という副題にある通り、余命宣告された小説家が自らの余命を意識しながら記した日記である。「今日はこの小説を読んだ」という一文が重い。あと何日しか生きられないと宣告されたとき、自分はどんな音楽を聴いたりどんな小説を読んだりするのかを考えさせられる。書きたかった小説のアイデアも記されている。こんな小説も書きたかったけれどももう書けないから、誰でも書いてもらって良いですよとまで記されている。切ない。ちゃんと生きようと

          【読書】山本文緒「無人島のふたり」

          【美術館】甲斐荘楠音の全貌

          「甲斐荘楠音の全貌」という展示を観た。絵画を観るのはもちろんのこと、その当時の歌舞伎や文楽、映画の様子などをも楽しめる。60年、70年前の映画の衣装に携わっていたことから、衣装と当時の映画のポスターが展示されていたが、そのポスターの中には北大路欣也や里見浩太朗のお名前が…。2人の息の長さに驚く。また、中村芝翫を描いたものもあったが、当然ながら(?)いまの中村芝翫の顔と似すぎている。歌舞伎の歴史を不意に感じた。

          【美術館】甲斐荘楠音の全貌

          【読書】佐藤友則「本屋で待つ」

          「本屋で待つ」という本を読んだ。地方で生き残るために本屋の店長が何を取り組んだかという一冊。自分がしたいことをするのではなく、お客さんがしたいことを尋ねて、とにかくそれに応える。応えるためにはもはや代理店だろうと思われるようなこともしており短期的には損だが、長期的には皆の信頼を手に入れていく。のみならず、本屋以外の多角的なサービス(コインランドリー、年賀状の住所打ち込み)まで取り組んでいく。年賀状についての本を売っているんだから年賀状のサービスを本屋がするのも突飛なことではな

          【読書】佐藤友則「本屋で待つ」

          【読書】タモリ「タモリのTOKYO坂道美学入門」

          「タモリのTOKYO坂道美学入門」という本を読んだ。東京の坂道が紹介されている本で、自宅で読むよりも本を持って坂道に出た方が良いように思われた。この本には坂の紹介とともに近辺のお店が紹介されている。2004年の本なので当時の物価の低さを感じたり、良いなと思ってグーグルマップで検索したら既に閉店していたり。2004年は割と最近に思えるが、月日は流れていることを実感させられる。

          【読書】タモリ「タモリのTOKYO坂道美学入門」

          【映画】CLOSE

          映画「CLOSE」を拝見した。幼馴染の少年2人が、中学校に進学した初日に「君たち付き合っているの?」とからかわれる。それをきっかけに、一方は相手との距離をとろうとし、もう一方は今までの関係を続けようとする。 距離をとろうとする側は、別のやんちゃな男友達と仲良くなろうとし、アイスホッケー部という男っぽいクラブに入る。近づこうとする側は、一番仲良しな友達に避けられているので人間関係に苦労する。同じアイスホッケー部に入ろうと思うが、それにもなかなか踏み込めない。 距離をとろうと

          【映画】CLOSE

          【映画】君たちはどう生きるか

          映画「君たちはどう生きるか」を拝見した。観てよかった。自分にとって最初の映画体験は「千と千尋の神隠し」で、映画を観ながら次はどんな世界に行くんだろうとワクワクしたことを覚えている。そんな気持ちを味わうことはこの20年ほどでめっきり減ってしまったが、本作を観て、知らない世界へと開かれていくときの新鮮な気持ちを味わうことができた。自分の人生で最初にした映画体験を新作で再び蘇らせてくれたことに感謝するばかりだ。リアルタイムでこの映画を観ることができてよかった。

          【映画】君たちはどう生きるか

          【読書】タモリ「お江戸・東京 坂タモリ 港区編」

          「お江戸・東京 坂タモリ 港区編」という本を読んだ。坂の写真が多くて雑誌に近い。坂を見てきれいだなと思うと、その場所に行きたくなる。この本を読んでグーグルマップの「行ってみたい」リストにいくつ印をつけたか。駅の近くに来たからちょっと坂を見てみようという発想には今までなったことがなかったが、これを読んで街歩きがちょっと楽しみに思えるようになった。

          【読書】タモリ「お江戸・東京 坂タモリ 港区編」