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おひとりさま・ひとりっ子による実家のたたみ方 #5

今の住まいと次の住まい

一番慎重に行った項目は、実家の扱いと住み替えの意思確認だ。

実家は東京23区内の一軒家。
パッと見は綺麗ではあるけれど、築50年近い家屋である。
床や壁の傷みなど老朽化も著しい。
両親の身体機能がさらに低下すれば、
庭の手入れなどの維持管理が困難になるうえ、
階段や段差が凶器と化すこともありうる。

転職を機に都内を離れ、隣県の郊外に賃貸住まいの私。
実家までは電車で片道2時間。
ときどき両親の顔を見に行く程度なら許容範囲のエリアだ。
車があれば便利なのだが、なにせ筋金入りのペーパードライバーなので
しかたがない。

住み替えの選択肢としては、両親を私の家のそばに呼び寄せる
という案もある。
しかし、相手は後期高齢者。
長年住み慣れた生活環境を変えることは大きなストレスとなり、
認知症を発症するリスクがあると聞く。
それは避けたい。

私が今の仕事を続けている限り、実家で生活することは難しいこと、
さらに高齢者施設への入所にはかなりの経済的負担が伴うこと、を
具体的な数字を交えて伝えた。

両親としては、定年後に私が住む場所として家を残してあげたい、と
思ってくれていたようだ。
けれども、介護費用の相場から具体的な金額が見えてくると
「子供に迷惑をかけたくない」という点では、
生きているうちに家を手放したほうがいいかもしれない、と
考えをあらためてくれた。

***

住み替えを前提とするなら、まず住み替え先を探さなければ。
先に示したリスクを考慮して、実家からなるべく近いエリアで
両親が安全に住める環境を検討する。
今のところ自活できているので
外出制限や外泊、門限に制限がないところが望ましい。

大手高齢者施設検索サイトで高齢者施設を検索してみる。
たくさんのサ高住の情報がヒットする。
施設ごとに特徴はさまざまだ。


そんななか旭化成ホームズが展開する
高齢者専用賃貸住宅 ヘーベルVillageに目が留まった。

全室40㎡以上のバリアフリー。
利用料もサ高住と比較すれば手頃だし、
高齢者2人で生活するには十分な広さが確保されている。
相談員による月1面談、ALSOKによる駆けつけサービス付帯は、
離れて暮らす私としても安心材料になる。
介護が必要になったら外部支援サービスを追加することも可能らしい。
 
公式サイトで近隣区の空室状況を調べたが、すべて満室御礼。

やっぱりなぁ。
そりゃ、みんないいと思うよなぁ。
ひとまず資料請求だけでもしておこう。
そう思った時に、脇のボタンが目に入った。
 

「建築をご検討の方はこちら」

 
建築をご検討?
もしかして条件に合致すれば、実家を建て替えて
オーナーになるという選択肢もアリということ?
そしたら私の老後は安泰かい?
 
思ってもなかった選択肢の登場。
オーナーの資料請求も一緒にしておいた。

ほどなくして届いた両方の資料を見比べながら、ひとり検討する日々。
さんざん悩んだが、結局、オーナーになる道は諦めた。

おひとりさまの私には不動産を引き継げる人はいないし、
この年齢から多額の負債を抱えたくはなかったからだ。

2022年の初夏のことだった。

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ふとしたはずみ
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