官能的勘違い
※急に文章がデスマス調になりますが気にしないでください。どっちが良いか悩み中デス。
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官能的といえば。
長年の友人K君は昔からサブカルというか面白いものに幅広く詳しく、私にも音楽や本をいろいろ教えてくれます。
そんな彼が昔、ある本を「すごく面白いよ」と勧めてくれたのです。
団鬼六という人の本でした。
世間では緊縛、いわゆるSMの世界で有名な方で私も知っていたので
「ほう!」
と少し驚きながらも
(いや、驚くなんてダサい。『宝島』読んでるサブカル女子としてはいろんな世界の人が書いたものに興味があって当然よ)
宝島を読んでいればサブカル女子を名乗れるってもんでもないですがそう思いながら、
私はすました顔をして「読んでみるねー」と答えました。
ただ、K君とはずっと友人でありエロティックな事物を共有したことがないので若干意外だなと思いながらも、本屋でその本を見つけ即購入。興味津々で読み始めました。
「す、す、すげえ…」
官能小説と呼ばれるものを読んだことはありましたが、はじめて味わうSM界の官能描写は経験不足の私にはかなりの衝撃でした。乏しい想像力で縄と縄の隙間を思い描くなどして鼻血が出そうになるほど悶々としたり、濃すぎる描写にクラクラして軽い吐き気を起こすなどしながら読み進みましたが、はっきり言って刺激的で面白かったのです。
さすがK君、これを私に勧めてくるとは、たいしたもんだぜ。
しかし、これ読んだ感想を彼にどう語るべきか。女友達ならともかく、いちおうお互い異性だし…う~ん。
まあ、別に深く考えなくていっか。そういうので照れるのダサいし!
後日、K君達と数人で飲みに行ったとき、私はごく普通のテンションで
「おすすめしてくれた『花と蛇』、読んだよ。すごい面白かった!」
と彼に言ったのですが、
「ん?」
しばし無言のまま神妙な顔をしています。そして言いました。
「俺がすすめたの『蛇のみちは』っていう自伝なんだけど。賭け事の世界の話とか波乱万丈だったよ。『花と蛇』ってSM小説だっけ?」
その飄々とした口調から、彼が緊縛にはおろかその手の物語にも興味が無い事が伝わってきます。
つまり彼は、世間ではSM等で有名な団鬼六氏は実は賭博の世界の人でもあったことや実際にどんな人生を送ってきたかに興味があったのだと、この瞬間、私は悟りました。
「ええっ!『花と蛇』読んでないの?」
「読んでない。そっちは勧めてない(笑)」
「えええええそっかそうだよねあははははははははは!」
「『蛇』しか合ってないし。内容すごそうだなあ」
「すごかったよあはははははははははははははははは!」
恥ずかしさで顔が真っ赤っかになるのを酒のせいにすべく、ものすごい勢いでビールをかっ喰らい始めたのは言うまでもありません。
いかにも私らしい早とちりと勘違いでしたが、おかげであの時、緊縛のディープな官能的世界を垣間見ることができたのです。
残念ながら、その道の達人にはなっていませんが。今のところは…フッフッフ。
(どこかへつづく)
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追記:『花と蛇』ですがあらためて確認したら何巻もありました。たぶん全巻は読んでない気がしますので、体調の良いときに続きにチャレンジしてみようかと。体調悪いときはきっと無理です(笑)