「お前コーヒー飲めないの?子供だなぁ。」 「うるさい!高校生はまだ子供だもん。それにミルク入れれば飲めるし!」 部活の差し入れで保護者から貰った、手違いで買ったというブラックコーヒーを片手に茜と健太は言い争いをする。 甘いものが好きな茜。ブラックコーヒーなんてとても飲めるはずはなく、開けることすらしなかった。それに気付いた健太にちょっかいを出される。 「また先輩達いつものやってるよ。喧嘩するほど仲が良いって言うしな。」 陸上部の後輩達は見慣れた二人の光景を笑い合う。
「じゃあ、行って来るね。」 「行ってらっしゃい。今日は遅くならないよね?」 「うん、いつもと同じくらいかな。」 いつもの朝の光景が、今日も訪れる。 会社員の夫と小学生の息子を持つ染山茜は二人を送り出し、朝食の後片付けを済ませる。 週の半分はスーパーの早朝品出しのパートをしている。今日はパートが休みの日。何をして過ごそうかまだ迷っていた。 「たまには美味しいものでも食べに行こうかな。ちょっと遠いけどあのオシャレなカフェにするか。」 行き先が決まり、時計を見ていそい
「先生、お腹が痛いので保健室に行ってもいいですか?」 初めて先生に嘘をついた。 私の前の席の、佐伯君が学校を休んで今日で2日目。 こんなに続けて休んだことなんて無かったから、亜香里は気になって仕方なかった。 休み時間になって、先生が保健室に来た。 「今お母さんに電話かけたら、お父さんもお母さんも仕事ですぐに来られないそうなの。もう少し保健室で待ってる?」 「家がすぐ近くなので歩いて帰ります。」 「そう?鍵はあるの?」 「はい、持ってます。」 「じゃあお母さんに電話して
寒い季節は布団からすぐに出られない。 目覚ましを時間差でセットして保険をかけるが、結局何度も止めては布団に潜ってを繰り返す。 一番最初の時間に起きたことはほぼ無い。 体力が無い。意思が弱い。 ナイナイばかりの私だが、少しは良い所もある。 ちょっとだけ自慢させてほしい。 年の割には若く見える。年の割にはスタイルが良い。年の割には… 何だか見た目だけの内容になりそうなので、中身についても少し補足したい。 優しい。酒が強い。歌がまぁまぁ上手。漢字は得意な方。犬や猫に好かれる