映像ディレクターが考える、アウトプットの質を上げるためのスケジュール管理
入社して3年目。任せられる仕事は増えましたが、同時にスケジュール管理の難しさを感じています。
クリエイティブ職の性質上、作り込もうと思えばいくらでも時間を掛けられます。しかし、与えられた時間は限られているため、常にどれだけ時間を掛けるべきかは自分でコントロールしなければなりません。本記事では「スケジュール管理」について、日々私が考えていることや工夫していることなどをお伝えします。
手を動かす人間がスケジュール管理をするメリット
みなさんは映像のディレクターという役職にどのようなイメージを持っているでしょうか。クリエイティブ業界に携わる人であれば「企画をより良くアウトプットするための演出家」というイメージが強いのではないでしょうか。一般的にはディレクターが企画演出を作り、プロデューサーがスケジュール管理を行うように分業されることが多い映像業界ですが、弊社では、必ずしも役職に仕事内容が限定されることがないような体制をとっています。なぜならディレクターがスケジュール管理を理解した上で得られる成長があると考えているからです。
弊社のディレクターは自身が手を動かし、自らの手でアウトプットを形づくっていくことはもちろんですが、同時にディレクター自身が制作進行も行い、スケジュール管理を行うことがあります。
ディレクターが自らスケジュール管理を行うことのメリットは、作り手の目線で時間を掛けるべき工程を選ぶことができる、という点です。業界の常識を知っているプロデューサーであれば、大体各工程にどれくらい時間を割く必要があるかというセオリーを心得ているでしょう。しかし、実際の案件を進行していくと、案件によって各工程で必要な時間は繊細に違ってくるものです。
それは企画を聞いた段階では読み取りきれないもので、作り手が直面してはじめて分かる情報だと思います。手を動かすディレクターがスケジュール管理をする、ということは、自分の肌感で時間の使い方を見極め、コントロールすることができるということです。そのため作業の見通しが立てやすく、クライアントや代理店に、より正確なスケジュールを伝えることができるのです。
勿論制作を専任で行うよりも担当する業務の幅は広がります。しかし、作り手にとって時間の掛けたいシーンにしっかり時間を確保し提案できるというのは、アウトプットのクオリティを高めるという点ではとても良い体制ではないでしょうか。
このように制作進行に対してのディレクターの理解度が上がると、プロデューサーと分業して案件に当たる場合においても、より良い結果に導くためのコミュニケーションがスムーズにできるようになるメリットがあると思っています。
「スケジュール」は「タスク管理」から組み立てる
私はスケジュール管理を「作業工程をタスク化して、必要な時間や、いつどの作業を進めるかを決めておくこと」と定義しています。
映像制作の工程を例にとってみても、ひとつの映像をつくるためにいくつもの工程が存在しています。 それらの工程を細かく分割して、それぞれに必要な時間を予想しておかないと、各工程にどれくらい時間を掛けて良いのかが分からず、終盤で時間が足りなくなったり、不測の事態があったときに対応するリソースが残っていない、といった状況に陥ってしまいます。
タスクを洗い出してスケジュールを組むことで「このタスクはいつまでに終わらせればいい」「今このタスクをやっているということは少し遅れているな」といった進行状況を把握しながら進めることができます。どんな業種の人も当たり前にやっていることだと思いますが、僕自身はその難しさと重要性に最近ようやく気づけました。
ここからは、具体的な工程を例にあげながら「現状上手くやれていること/やれていないこと」について話を深堀りしていければと思います。
「ざっくり見積もり」を立てることの重要性
案件によって工程が異なる場合がありますが、ここではLIGHT THE WAYの映像制作の流れを例に考えていきます。
仮に3ヶ月で終了するプロジェクトを想定してみましょう。実写とアニメーションを組み合わせた映像を制作すると仮定して、ざっくり以下のように必要時間を割り出します。
なんとなく「このくらいかかるだろう」という読みで必要時間を想定してみました。まずはこのようにざっくり各工程にかかる時間を見積もることが重要です。僕がLIGHT THE WAYに入ったばかりのころは、そもそもこういった全体像自体見えておらず、その時々に目の前のタスクを闇雲にこなしていました。その結果、気づけばいつの間にか時間が足りないという状況によく陥っていました。具体的には次のようなことが起きていました。
とりあえず目前の作業を進め、終わり次第次の作業へ移る。といった具合に作業を進めているうちに、気づけば期限までに作業が完了していない。さらに、なぜ間に合わなかったのかもよく分かっていない、という状況です。しかし、全体の見通しを立てたうえで作業を進めた場合は、次のような進行になります。
この図の場合、作業Aに掛けられる時間は5日間なので、4日の時点で進みが悪いことに気づき、残りの1日の使い方を工夫して作業を切り上げています。しかし、先程の場合、作業Aに納得のいくまで時間を費やした結果、6日間も掛かってしまい、それが原因で後の作業の時間的リソースが足りなくなっていました。
作業が遅れることもですが、それ以上に問題なのは作業着手前に「作業Aには5日間掛けるべき」という見積もりを立てていないので、どこに時間配分のミスがあったのかを気づくことができない点です。あらかじめ「ざっくりの見積もりを立てる」ことの重要性は、ここにあります。
もちろん、作業にかかる時間の見積もりが甘かったり、元々想定していなかった緊急の作業が発生した場合はスケジュールがずれ込んでしまうものですが、予測と実践を繰り返していくうちに、スケジュール管理の精度はあげていくことができるのです。
良いスケジュール管理は良いアウトプットと成長につながる
しかし、必要な工程を見落としていたり、予期せぬタスクが発生したりと、未だに失敗してしまうことはあります。「あと◯日余裕があれば…」と思うことも少なくありません。、その度にスケジュールに数日のバッファを組み込んでおくことの重要性を実感します。
しかし、これまで失敗と改善を積み重ねてきた過程で、自分自身、目に見えて管理能力が高まってきている実感があります。上手くスケジュール管理が出来ているときは、時間にゆとりが生まれます。すると、さらに映像の精度を上げるためにリソースを割いたり、これまでやったことのない表現に挑戦することが出来るのです。スケジュール上のゆとりは良いアウトプットに繋がると、つくづく実感します。なによりも、そういった制作は楽しく、案件を通して得られる成長も大きいです。
私自身、まだまだ未熟な部分もありますが、良いアウトプットを生み出すための働き方を模索していきたいと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました! これからも、「私たちの声」で日々の発見や学びを共有するような記事や、日頃考えているテーマなどを発信していきます。興味のあるテーマがあれば、ぜひご覧ください。
編集者:高橋直貴 https://twitter.com/nao4200
記事を書いた人:森重宏紀 https://twitter.com/morishige_ltw
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