『Pillow talk diary』どちらに主導権
雨にも優しさってあるわよね。
無音で、無言で
弱くはないけど包み込むような雨。
さっきまでの荒事と熱をさっさと冷ましてしまえと言われてるみたいね。
……好きだわ、雨って。
例えるなら懺悔のような気持ちね。
神に赦しを乞うまでは落ちぶれていないけど、地獄に落ちるくらいの業は積んできてしまっているものね。
それを赦してくれるのが雨みたい。
勝手な事言ってるけど雨だって神さまの施しなら、意味は何も変わらないけどね。
濡れてるから入れ?
嫌よ寒くないし。雨の煙草が1番美味しいの。終わった後なら尚更なのよ。邪魔しないで。
せめて着て?
別にいいじゃない減るもんじゃないし。
明るくなってきたからって誰も歩きはしないわよ。それに見られて恥ずかしいものでもないわ諦めなさい。
一緒に朝ごはん作ろう?
何よそれ、卑怯だわ。こんな早起きさせといて朝からヘトヘトなのにまだ動かそうってわけ?言っとくけど今日私休むから。二度寝するのよこんな日は。
今日雨だから車で行くの?
え、それは乗せてもらえるの?
なんで今日に限ってそうなのよ。
もうほんとにあなたって傲慢、我儘、偏屈、分からず屋。あとは思いつかないわよ。
いいわよもう。好きにして。