どうすればお客様に投稿してもらえる?カレーショップのUGCへの挑戦
木村が「#わたしのカレー時間」のアイデアを進めることを決めた翌週、たかしのもとを再び訪れた。
「たかしさん、この前教えていただいたUGCというユーザーが自分で作ったコンテンツの企画、何とか形にできそうなんですが、もう少し詳しく成功のコツを聞いておきたくて」
たかしは微笑みながら頷いた。「ええ、もちろんです。UGCにおけるマーケティングで大事なポイントを順番にお話ししましょう」
1. 投稿しやすいテーマにする
「UGCの作成を一般のお客様にお願いするときには、テーマが重要です。木村さんの『#わたしのカレー時間』はいいですね。カレーを楽しむ時間という具体的なテーマがあるのでお客様も投稿しやすいです」
「なるほど。確かに、投稿者が迷わないテーマを作ることが大事なんですね」
「その通りです。『わたしのカレー時間』のように、誰でも共感できて、日常生活の中で見つけやすいテーマにすると参加しやすいですよ」
2. お客様にメリットを提供する
「次に大事なのは投稿する動機です。人は何かしらのメリットがあると行動を起こしやすくなります。プレゼントがあるのはそういう理由からですね」
「プレゼントがあると投稿してもらいやすいですか?」
「そうですね。ただ、プレゼントだけが全てではありません。『公式アカウントで紹介される』という名誉や『投稿された内容にコメントがつく』という体験も参加の動機になります。」
木村はメモを取りながら頷いた。「なるほど、何かしらの見返りが感じられる工夫をするわけですね」
3. 簡単に参加できるようにする
「投稿のハードルを下げるのも重要です。木村さんの企画なら、『カレーを食べている写真を撮り「#わたしのカレー時間」をつけて投稿する』だけで十分です。もし条件が複雑になると途端に参加者が減ります」
「確かに『特別なアプリをインストール』とか『登録』が必要だと面倒くさいですもんね」
「ええ。それから、投稿ルールは明確にしておくこともポイントです。シンプルな指示がユーザーを動かします」
4. 公式アカウントが積極的に関与する
「投稿が集まり始めたら、公式アカウントがそれを『見ている』と感じさせることも大事です」
「どういう意味でしょうか?」
「投稿された内容に『いいね』をつけたり、コメントをしたりするだけでも効果があります。『見てもらえた』という喜びが、他のユーザーの投稿意欲にもつながるんです」
「公式アカウントでアクションを起こすだけで、そんな効果があるんですね」
「ええ。そして、優れた投稿を選んでシェアすれば、その投稿者も喜ぶし、新しい参加者を呼び込むきっかけにもなります」
5. 継続する
「最後に重要なのは、継続性です。UGCキャンペーンは一回限りではもったいない。少し形を変えて、定期的に開催するといいですね」
「例えばどういう風に変えればいいんですか?」
「たとえば『#わたしのカレー時間 夏の特集』や『冬のあったかカレー時間』など軸となるテーマは変えずに季節感だけを加えてコンテンツを継続させるのもひとつの手です。少しであったとしても投稿テーマが変われば、これまで参加したお客様もそうでないお客様も参加しやすくなります」
木村は一通りメモを取り終え、たかしに向かって深々と頭を下げた。
「たかしさん、本当にありがとうございます。具体的なアドバイスのおかげで自信が湧いてきました!」
たかしは笑顔を浮かべながら、軽く手を振った。
「お客様の声は宝です。うまくUGCを育ててください。きっと、木村さんたちのカレーをさらに多くの人に届ける力になりますよ」
木村はその言葉を胸に、再びオフィスに戻っていった。翌月、SNSには「#わたしのカレー時間」を使った投稿がさらに広がり、木村の会社は新たな顧客層を獲得していくこととなった。