生徒激減!レジンワークショップ【告知文の作り方】
たかしは、レジン作家の茉莉から再び相談を受けた。ワークショップは当初、たかしが手がけた「小さな思い出、永遠に」という告知文とともに盛況だったが、開催から一年が経ち、最近は人が集まりにくくなってきたという。茉莉はワークショップにもっと多くの人が来てほしいと願い、新しい告知文の相談をたかしに持ちかけた。
アトリエでの再会は、少し控えめなものだった。茉莉の手には、少し使い込まれたワークショップのフライヤーが握られていた。「最初の頃は、毎回たくさんの人が来てくれていたんです。でも今は、参加者が少しずつ減ってきていて…」と、茉莉は困ったように笑った。「来てくれる人には喜んでもらえているのですが、やっぱり、もっと多くの人に知ってほしくて」
たかしは彼女の話を聞きながら、ワークショップの光景を頭に思い浮かべていた。回を重ねるごとに、参加者も一度来た人が多く、リピーターだけでは新鮮さが薄れてしまう。茉莉は「新しい出会い」を求めているのだと、たかしは感じた。
「茉莉さん、このワークショップで、新しく加えたい工夫やテーマはありますか?」と、たかしが尋ねると、茉莉はふと顔を上げた。「実は少し新しいことを取り入れたくて」と話し始めた。彼女は、この一年で参加者から聞いた話や要望に応えて、「記念日」や「プレゼント」をテーマにしたレジン作品を作る新たなプログラムを考えたのだという。大切な人へのギフトや、自分へのご褒美として特別なものを作る、というアイデアだった。
その話を聞き、たかしは再び言葉を練り始めた。「大切な思い出を形に残す」というコンセプトを保ちながら、新しいテーマの要素を取り入れられるような言葉が必要だ。しばらく黙り込んだたかしは、静かに一つの言葉を差し出した。
「大切な想いを、分かち合う」
短いながらも、「記念日」や「贈り物」を作る喜びが伝わり、新しいワークショップに惹かれるきっかけになるだろう。このフレーズには、「あの日」「あの時」を美しい形に閉じ込める魅力が詰まっている。茉莉の思い描く、思い出や大切な人への想いを形にする喜びが表現されている。
茉莉はそのフレーズを聞き、何度か声に出してみた。「これなら、初めての人も特別な気持ちで参加できそうです」彼女は嬉しそうに微笑んだ。たかしのシンプルな一言が、再びワークショップに新しい風を吹き込んでくれる予感がした。
その新しいキャッチコピーで作られた告知文で、茉莉のワークショップは再び注目を集めた。SNSでも「大切な想いを、分かち合う」という言葉が共感を呼び、カップルや友人、家族など、幅広い層が参加を希望してくれた。新しい告知文が伝えたのは、ただの「ものづくり」ではなく、思い出を残し、その後、誰かと共有する「体験」そのものだった。
たかしは、告知文が役立っていることを茉莉から聞くと、ただ静かにうなずいた。そして、また一つ、自分の言葉が誰かの心に残る喜びを胸に、次の仕事に向かっていくのだった。