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摂食障害 愛よ!社会人編②

ブツンッ!

頭の中で何かが音を立てて切れた。
目の前の景色がグニャリと歪んだ。
そこからの記憶が途切れ途切れである。
アパートの中で正座をして、ガラゲー(まだスマホがない時代だった)の電話帳から上から順番に手当たり次第電話をかけまくっていた。
初めは愚痴を聞いてもらっていたようだが、だんだん意味不明、支離滅裂なことを言い始めたようである。呂律も回らなくなっていた。
私は誰に何を言ったかなんて覚えていないが…

すごい発見をした。
10という数字はすごい。
とは言っていた。

死にたいとかは言っていなかったと思う。
とにかく何かすごい事を思い付きたのだ。
と言っていたのだ。

たまたま会社の同期に電話をかけていたときだったのが幸いし、同期が救急車を呼んだ。
住所はちゃんと言えていたらしい。と、後日聞いた。

救急隊員が直ぐに来て(消防署の近くのアパートだった)、両脇を固められてアパートの階段を引きずり下ろされた。私はまだ何かを叫んでいたようである。

救急車の中でも、ワーワー叫んでいた。
そこからの記憶はない。
目を覚ましたのは丸一日以上経ってからだった。

どういうわけか、丸一日寝たまま、アパートの中でいたらしい。
引き取り手がいなかったのか、鼠蹊部に太い針を刺した後があった。
病院で処置して、それからどうやって帰ったのだろう…?
未だに謎である。

起き上がると、思考はスッキリし、清々しい気分だった。体はのろのろにしか動かないが、久々によく寝られた!という爽快感があった。

今思うと、躁鬱病(双極症)の典型的な躁状態であったと思う。でもその時はそのような病気があるとは全く思ってなかったのだ。

携帯電話を見ると、男女トラブルになっていた女との共通の友人(高校のクラスメート)から私の安否を気遣う連絡があった。友人は例の女に以前から何回も注意をしていたし、今回の件もあまりにもお前の行いは非道いよ。と怒ってくれたのだが、相手は、私の方がおっぱいが大きいから、モテるから、仕方ない。のような感じでもう相手にするのを辞めたらしい。とんでもないことに巻き込んでしまって本当に申し訳なく思う。

次の日会社に行くと、私の周りに同期の子がきて、「大丈夫?後で話きくね!」と言ってくれたのだが、私は電話口で何を言ったかその時は全く覚えて無かった。
「ごめん、1日分の記憶ないんだ!」
と言ったら、
「じゃあ無理だね!!」
と言って二人で爆笑した。

躁状態の救急車事件は、まわりにかなりの迷惑をかけてしまった。

しかし、躁の後は鬱が来るのものなのだ。
当時は病識が無かったので気づかなかった。

また、例の男女が許せなくなってしまう。
私は、バレンタインの日に貰った箱を受け取り、ついつい「〇〇ちゃんを幸せにしてね」などという心にも無い言葉を口走ってしまったのだった。
なぜそんな事を言ってしまったのか分からない。
私はその男のことが本当に好きだったのかも知れない。その言葉に許されたと思って二人は楽しく可笑しくしているのであろう。
許せなかった。

殺そう

私は男をアパートの部屋に呼び出した。

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