見出し画像

双極症 狂人日記②

大分疲れが溜まっているのだろう

一旦忘れることにした。


私は何年も携わっていたプロジェクトから契約の関係で抜けることになった。
ガクッときた。

次は配属された新入社員の教育だった。
一緒に、ディープラーニングの教師あり学習のテーマで、当時LLMの革新的なモデルを使って課題に取り組んだ。
一つ一つ、トライアンドエラーで精度を上げていくのは何事にも代え難い快感である。
その手順を教えながら、私の脳内に何故だかいつもより圧倒的に多いドーパミンが出ているのを感じた。

しかし、ちょうど良いところで邪魔が入る。
他のプロジェクトを1人でやれというのである。
私は許せなかった。せっかく乗っていたところを邪魔されて本当に腹がたった。

たが、そこは仕方ない。仕事だ。
舌打ちをしながらも、頭の悪い客とアホみたいな会議をして、客の要望した奇妙なサイトを作らされた。私はこんな変なものを作りたくない。
良いものを作りたいという私のポリシーに反する見た目だった。
長年、機械学習しかやっていないのでWEBサイトを作る事は滅多になかった。入社して5年目位で関わらなくなった。
作るのは結構だが、他の作業内容に知見がなく数ヶ月毎日働く羽目になった。
子供を迎えに行って、世話をした後、家でも夜中まで働いたのだ。
相談したが誰も助けにはならなかった。増員もされなかった。


私は非常に真面目な性格らしく、入社以来、電車の遅延以外での遅刻をしたことがなかった。
毎日ロボットの様に、同じルーティンで同じ電車に乗る性質があった。

疲労が溜まっていたのか、朝の電車を待つホームで、スマートフォンを右手に持っていたが、電車に乗り込む際に、手に力が入らなくなりポロリと電車とホームの間にスマートフォンを落としてしまった。
私はとても焦った。
遅刻してしまう。
どの位置に落としたかよく分からなかった為、向こう側のホームまで行き確認したり、駅員を呼んだりして拾って貰うまでの時間がかかってしまった。

急いで会社に向かったが、タイムカードを切ると1分だけ遅刻してしまった。
それを見た瞬間、頭の中で

ブチッ

と大きな音がした。

顔を上げると、オフィスの一番奥に、手足の長い大きな男が3人立って何かをしていた。体は糸の様に細く、逆光で真っ黒だった。
そいつらが私に

もうお前はいらない

と言うのである。


上司だったのかもしれない。
自分の席に着くと、スマートフォンを取り出した。線路に落としてしまった為カバーが割れていた。それを剥がすと、破片で指を切ってしまった。
血を見ている内に私は嫌がらせに遭っていることを確信した。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?