【おいしくて面白いイタリア実習】~モデナ編~
前回のつづき
発展している草の根のプロジェクト
9月11日、午前中は困窮者食堂(レフェットーリオ)を運営したチームの女性スタッフと三ツ星レストランのシェフが始めたRootsという「女性のためのレフェットーリオ」を見聞した。
レフォットーリオとは、地元の恵まれない人々に無償で料理を提供する食堂のことである。
Roots: scopriamo storie,
食く介して人と人が出会うのだと教えてもらった。
移民(イタリア移民はアフリカ系が多い)を助け、彼女らを物理的にも精神的にもサポートし、新しい地でそこに新しく根をはっていけるようにするプロジェクト。
彼女らがそれぞれの国から持ち込んだ料理で構成されるレストランを運営していて、売上は全て彼女らを助けるためのお金になり、そこで働く彼女らのお給料にもなるそうだ。食にPassionがある女性を一年に3回、4名ずつこのプログラムに参加し、新しい文化・言語を理解しながらシェフトレーナーとスキルを身に着けていくという。
お昼はCo-workingスペースで、夜はイタリアでは珍しい本格的なエスニックレストラン。世界中の味に出会える場所だ。
ここで大切にしていることは、
・相互に助け合う
・誇りをもつ
・安全な環境(キッチン、物理的)
・文化の多様性
だという。
このプログラムの卒業生であるDouhathathさんは
“ I can say that my experience here at Roots has been a success and my life has changed, not only for work. After the program, it’s not like a door closed, but instead Roots gives you the keys to fallow your future. I’ve found so many opportunities that wouldn’t have been possible before and i finally feel like I’m climbing my way to the top”
という。
このプログラムは、彼女らの人生の扉をあけて、彼女らが自分の道を見つけ、そして自分のルーツを再認識する意味がある。物理的なサポートも手厚く、Kitchem maker からキッチンの機械を提供してもらったりしているらしい。情報の開示もしっかりしている。
日本では移民の受け入れをあまりしていないし、このようなプログラムを運営していくのは非常に難しいことらしい。
座学の後、好きな食をグループごとに話すことになった。このプログラムを受講する彼女らもまずは自分の食べている好きな食べ物をグループに提案するらしい。自己紹介よりも食を語るとよりその人について深く早くわかるという。私達はお正月のお雑煮の話になったのでその中身の紹介やおせちの具で何が好きか語り合った。すると、友達の出身地からどのように正月を過ごしていたのかわかり、面白かった。
Rootsのように移民の女性に対して食を介して、彼女らの人生の扉をあける手助けのプログラムがきちんと成功している例をみて、助け合いの心と人の優しさに触れた。
ルーツを大切にすることは歴史や文化、そしてその人を思い尊重し合うことに繋がるから、とても素敵だなと思った。
市場とロマネスク建築の大聖堂
お昼はアルビネッリ市場に行った。モデナのレフェットーリオに余剰食材を提供していた市場らしい。モデナの歴史的遺産。その後大聖堂へ向かった。ヨーロッパで重要なロマネスク建築の一つに数えられるらしい。ロマネスク様式は石造りの「分厚い壁」多数の「小さな窓」ローマ風の「半円アーチ」豪華な「柱頭」が特徴。
ジェラートの本場
9/12、大型バスで世界にテクノロジーを売っている会社カルピジャーニのジェラートユニバーシティへ。
まずは座学でジェラートについて作り方や構成、そして絞り方の違いでの味の変わり方を学んだ。
その後、ジェラートとシャーベット(乳製品を入れない)を作った。3人グループになり、私たちはアーモンドとキウイを担当した。全部のグループ合わせると12種類ものフレーバーが完成した。
その後社食でお昼ご飯!
食べた後は歴史を勉強した。ジェラートには1万5000年前からの歴史があるらしい。ジェラートの自動販売機にときめき、今日本にあったら流行りそうだなって思った。
やさしさに包まれる瞬間
夕方、コインランドリーに行くために歩いて行ったところは閉まっていて、隣のピザ屋に助けを求めたが店員さんに教えてもらった所は既に全て使われており、次の所に向かうとそこも閉まっていた。ウロウロしてたら近くのお姉さんがどうしたの?って言ってくれて助けようとしてくれた。でも近くにはコインランドリーがやっぱりなくて、歩いているときに見つけた教会の前にいた人たちに助けを求めたら、わざわざコインランドリーの所まで案内してくれた。家は近くだから~って言ってくれたけど、逆方向に戻って行ったからたぶん違う。優しすぎる、、。
コインランドリーで洗濯物を回してる途中、薬局に行った。するとお会計の時に、どこから来たのか、どれくらいここにいるのかなど聞かれた。ただのレジでもこんなにフレンドリーに話しかけてくれて、現地の人と交流できた。その土地の文化に触れられたような気がして嬉しかった。
海外では挨拶の中に、今の調子を聞いたり気分を聞いたりするからそれをきっかけに会話が生まれる。会話をすることで得られる知識もある。
私はこの文化が好き。
モデナと言ったらフェラーリ
9/13 午前中はバスでフェラーリ博物館に行った。フェラーリのところまで4ユーロ。少し高いなと思いながら乗っていると隣の黒人男性の手にバスの切符が。見ていると男性が、現金だと4ユーロだけどたばこ屋さんで買ったら安く2.9ユーロで買えることを教えてくれた。男性はガーナ出身でフェラーリが好きだから22年間フェラーリに勤めているらしい。ちょうどフェラーリに行く人だったからおりるところも教えてもらえた。(たぶん従業員のところで降りてしまい沢山歩く羽目になったけど(笑))
博物館の入場料は学割を使って18ユーロだった。フェラーリの歴史ある古いものから最新のものまであった。
新しいメガネで見る
午後はバルサミコ酢を保管する倉庫がある場所でバルサミコ酢について学ぶ予定があった。
その場に着くと、先生は興奮していた。
なぜなら、そのバルサミコ酢の倉庫があるレストランのオーナーであり、世界のトップシェフとも言われるマッシモ・ボットゥーラ本人が奇跡的にいたからだった。こんなことはないらしい。
マッシモ・ボットゥーラは文化が大事だと主張する。
料理人にとって最も重要な「素材」とは、文化、知識、意識、責任感であり、文化は人間が連綿と築き上げてきた知識と意識と責任感の集積で、文化がなければ、知識も意識も責任感も生まれない。料理人は文化から学ぶことで成長し、発展を続けることができるという。
伝統を批判的な眼差しで見て、過去に根があるものを現代性をもって表現することが重要だと示している。
マッシモ・ボットゥーラの講義を聞き、そして記念撮影した。
私は運良くマッシモ・ボットゥーラにあなたは何を勉強しているのか質問され、少し会話ができた。もっと語彙力があれば深く話を広げられただろうにと後悔した。もっと勉強しよう、、、(泣)。でも、話している途中ほっぺポンポンしてくれた。もう洗わない!(笑)
マッシモ・ボットゥーラはかっこよかった。レストラン含むその土地は持続的な空間で、自然の雨風太陽の恵みを生かしていた。
その後はバルサミコ酢の樽の話を聞いた。バルサミコ酢は年数をかけるほど甘く熟成されていて深い。倉庫の部屋ごとに、過去と現代を表すような芸術作品が置かれていたり、細菌の働きを表す作品があったりした。過去と今を見て、細菌の働きを知った。マッシモ・ボットゥーラが伝えたいことが芸術作品として圧縮されていた。
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