イライラスイッチと旅の行き渋り #154
連休を利用し1泊旅行に出かけた。
旅の企画や準備は、いつも夫が担当だで、私は出発の朝になってバタバタと準備する。
その日は、朝6時前には出かける予定をしていた。
いつもより早めに起きて、旅の準備に朝ごはんの段取りに慌ただしい朝。
私は「食卓を拭いて」「〇〇出して」などと、次々と息子に頼みごとをする。
息子の反応は鈍い。
私は動き回りながら「ほら、早くやらないと出かけられへんよ」と捲し立てる。
みるみるうちに、息子のテンションが下がりだす。
「しまった」
そう気づいた時はもう手遅れだった。
「もういい、いかない」と言い出した。
順調に進んでいたはず旅の準備が一気に、ふりだしに戻った。
「えええ?そうなん、、、」
出発時間が大幅に遅れることを覚悟しながら、彼の「行かない」宣言を撤回させるにはどうすればよいかを、頭の中でぐるぐる考える。
こういう時には、何を言っても逆効果で意固地になるだけだ。
彼は、自分1人で留守番し、食事は食べないと言い張り出した。
夫と長女は既に車で待機中。
「じゃあ、どうしたいか決めて、自分でパパに言って」
「イヤイヤイヤ、無理無理無理」
少しの問答のあとに、
「だって、ママが命令ばかりするからや」
「そうだよね」反論なんてできなかった。
彼は私から、あれやこれや言われて、小さな不満がドンドンと積み重なっていたのだ。
気軽に頼んだだけのつもりなのに、息子は命令されたと感じていたようだし、よくよく考えると私も彼を自分の右手の如く使おうとしていた。
コミュニケーションエラー?言い方がまずかった?
そんなことより、当然のように彼を利用して家事タスクを処理していこうとしていた自分のスタンスのまずさに気づく。
悪気なんてないし、むしろ家族の為だと思っていても、その言動がまずいと、こういう失敗をしてしまうことがある。
私は息子に、命令したつもりはなかったことを伝え、それでも言い方がまずかったこと、嫌な思いをさせたことを謝った。
謝られたところで、すぐに機嫌がなおるわけでもなく、まだ、不貞腐れた表情で「行かない」と言い続ける息子。
「わかった。本当に行くつもりがないなら、ママも一緒に行かないから、どっちか決めてね」
こういうときは、強引に連れて行かないようにしている。
親に促されて仕方がなく行くのではなく、自分の意思で決めさせる。
旅先では、楽しいこともある一方で、思い通りにいかないことも多い。
そのたびにイライラしがちな息子は、そのたびに親のせいにするので、家族みんなが嫌な気持ちになってしまうこともこれまでに何度もあった。
そういうこともあって、行動する、しないだとか選択の最終決定は必ず自分でさせている。
子どもの意思が親の希望とは違っていても、その判断は尊重する。
しばらくして、「30分待って」と言ってきた。
「わかった。行けそうになったら教えてね」
それから、数分もしないうちに、「行くわ」とあっさり車に乗り込んだ。
あー良かった。
これが、学校の行事とか、電車で行くとかで時間が決まっている旅だったとしても、こんなに冷静でいれただろうか?
そんなことを思いながら目的地に出発した。
その日の夜、ホテルで夕食をとっているときに、何がきっかけだったか、朝の出発渋りの話になった。
「どうせ行くっていうのは決まってるねん。絶対行くねん。だけど、あんなんなっちゃったら、時間が必要やねん」
ただ単にイライラしていたから、ごねただけだったことをあっけらかんと話す息子。
つい半日前の自分の言動を客観視して冷静に話している。
こういうとき、やけに大人びた感じがする。
息子にとって次のステップは、嫌なこと・気に入らないことがあったときに、爆発のレベルを調整したり、できるだけ素早く気持ちを切り替えること、かなと思っている。
「どうせ行くって決めてたんやったら、さっさとプンプンタイム終わらせられたらいいねぇ。イライラばっかりに時間使うのもったいないもんなぁ」
彼のイライラスイッチを無意識に押し続けていた朝の自分を反省しながら、ひとりごとのようにつぶやいてこの話題を終えた。
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