「隙あらば猫」展に行きました
上野松坂屋で行われた「隙あらば猫 町田尚子絵本原画展」に行ってきました。
町田尚子さんといえば、やはり猫を描く絵本作家さんのイメージが強いですね。
私も、『ねこはるすばん』で俄然注目しました。
町田尚子さんの描く猫は、とってもリアル。
毛のフサフサ感や、ヒゲの一本一本まで丁寧に描かれ、顔つきは本物そっくり。
なのに、動きはユーモラスだったり、現実にはあり得ないことをしていたり。
でも、それが嘘にならないのは、原画展での解説の言葉にもあるように、常に「目が本物」であるから。
そうそう。そうなんです。
だから、猫がお風呂に入っていても、回転寿司を食べていても、なんだかリアリティがあるんです。
ずっと見ていると吸い込まれそうな、夜中に見ると、ちょっとゾクッと怖くなるような、あの目。
力強く、生命を感じさせる目をちゃんと持っている猫たち。
愛猫「白木」といっしょに暮らし、愛してきた町田尚子さんだから描ける、本物の猫だと感じます。
『ねこはるすばん』のラストに出てくる猫の表情なんて、たまりません。
何でも許してあげたくなっちゃうような、「とってもいい子」の顔。
あれ、うちのワンコも時々やりますが、猫の場合は確信犯のような気がします(笑)
町田尚子さんの絵で魅力的なのは、構図の面白さ。
猫の視点になって、低い位置から見上げたり、かと思うと、鳥のように高いところから見下ろしたり。
遠くからそっと見ている時もあるし、超接近して急にどアップになる時も。
怪談絵本『あずきとり』では、一度も姿を見せない不気味な存在の何か、その目を通して、ひっそりと少年を覗いて見ているかのような描き方もしています。
犬だけが存在に気づいて、こちらを見ているのが、またリアルで怖さを増幅させます。
自由自在に視点を変え、まるで映画の中のワンシーンを切り取ったかのような絵を見ると、町田尚子さんは、頭の中で映像が流れて、シャッターを切ったその一瞬をとらえて、その光景を描いている方なのかな…と感じました。
町田尚子さんは、猫が主役の絵本だけでなく、昔話や童話、怪談なども手掛けているのですが、話には直接関係ない場面でも、あちらこちらに猫が登場します。
まさしく「隙あらば猫」(笑)
例えば『マッチ売りの少女』では、少女にそっと寄り添う猫が描かれていますし、ゾッとする怖さの怪談絵本『いるかいないか』では、家の中に何匹も猫がうろついています。
ちょっとした風景の中にも、さり気なく猫が紛れ込んでいたりするので、猫探し的な楽しみ方もいいかもしれません。
あ、箱の中に入ってた!、とかね。
また猫がいることで、ただの風景ではなくなり、物語を感じさせる絵となって、より読者のイメージを膨らませてくれるように思います。
本編とは別に、またもう一つの物語が別に隠されているような、そんな感覚です。
会場内は撮影禁止ですが、一部、原画展のために描き下ろされた新作は、撮影可となっていました。
写真撮影できるコーナーもありました。
今回、数多くの原画が展示され、見ごたえたっぷり、猫たっぷりで大満足でした。
絵本として印刷されると、どうしても元の色みと変わってきてしまうので、オリジナルの美しい色彩を見れるのは貴重ですね。
また絵本ではないけれど、町田尚子さんの愛猫「白木」が虹の橋を渡ってしまった時に描かれたという、白木のジャンプ姿の絵が、とても心に残りました。
日常の中で見せていたであろう、さまざまなジャンプする白木の姿が、静かに淡々と描かれ、ただそれだけなのに、もう二度と見ることのできない愛猫のその姿、温かい時間を失った悲しみがじんわり伝わってくるようでした。
上野松坂屋での原画展は10日で終わってしまいますが、同時開催中の西荻窪「ウレシカ」さんでの個展は、まだ間に合いますよ。
■9月28日(木)→10月16日(月)
■開廊時間:12時〜19時
■休廊日:火・水
さて。
今回のランチに利用したのは、松坂屋4階にある喫茶「トリコロール」。
落ち着いた雰囲気で、お客さんの大半はマダムです(笑)
ランチメニューもありましたが、今回私が選んだのは、こちら。
両方食べたいという欲求を満たしてくれる、夢ののようなセットです。
パンケーキは、本当にミニですけどね(笑)
この手作りプリンが、メチャメチャ美味しかったです。昔ながらの固め+ほろ苦いカラメルソースで、まさに私好みの味。
クリームが添えられてるのも、嬉しいポイント。
ランチ代わりにするには、ちょっと物足りないかなと思ったのですが、たっぷり、しっかりしたプリンだったので、思った以上にお腹が満たされました。
このプリン、単品だと800円もするので(高っ!)、セットメニューや、ランチメニューにプラス(500円になります)がオススメです。
素朴な固めプリンのお好きな方は、ぜひ一度お試しあれ!