成長する感情
ピクサー映画の中でも、私のお気に入りの一つである「インサイド・ヘッド」。
脳内の感情をキャラクター化するというアイデアで、引っ越しで不安定になった少女ライリーの心や、喜びと悲しみは表裏一体であることを上手く描き出していました。
その続編「インサイド・ヘッド2」では、ライリーが成長して思春期に。
今までの感情、ヨロコビ、イカリ、カナシミ、ムカムカ、ビビリで上手くやっていた日常がある日突然崩れて、脳内は大リニューアル。
新しくやって来た大人の感情、シンパイ、イイナー、ダリィ、ハズカシに取って代わられ、ヨロコビ達は追い出されてしまいます。
今作では、高校入学を控えたライリーに起きる人間関係のもつれ、新しい生活への不安、両親への苛立ちなど、より複雑になった感情の動きが描かれています。
特に、ティーンの頃特有の人間関係がとってもリアル。
憧れの先輩に嫌われたくなくて、ちょっと無理してしまったり、仲良しの友達との関係に突然亀裂が入って、自分も裏切ってしまったり。
高校デビューに失敗して、友達ができなかったらどうしよう。
ずっと一人で過ごす羽目になったら…?
なんて不安や心配は、誰しも頭によぎることだと思います。
映画製作の際には、実際のティーン達の意見を聞いて、セリフに不自然なところがないか…などもチェックしてもらったそう。
リアルなティーンの生活を実感できるのも、うなづけます。
また今回、私が興味を惹かれたのは、ライリーの成長の話であると共に、感情達自身の成長も感じられたことです。
いつもメソメソくよくよしてばかりだったカナシミは、勇気を持って行動できるようになっていましたし、イカリもただ怒りをぶつけるだけでなく、いったん落ち着いて、解決策を見出すことができました。
印象的だったのは、いつも陽気でハッピーなヨロコビが、初めて本音を吐き出して弱い自分を見せたこと。
どんなに元気で、いつもみんなを盛り上げている人だって、時には挫けて落ち込むことだってありますよね。
そんな負の部分もあってこそ、喜びの感情はさらに深く輝やきを増し、他の感情たちと一体になって、自分らしさを作っていくのでしょう。
弱さを見せられるようになるというのも、一つの成長だと思います。
ただ今、まさに思春期ど真ん中のムスメには、この作品は心に刺さりまくったようです。
昔は「本とか映画とかで泣いたことない」なんて言っていたのに。
成長と共に理解力や共感力も高くなったせいか、今回の「インサイド・ヘッド2」では「10分に1回泣いてた」と言ってました。(宣伝部の回し者のようだ 笑)
「泣きすぎて、顔に一生懸命塗ったものが全部取れた」そうです。ご愁傷さま。
いよいよ思春期が始まったライリーが、両親の言葉に過剰反応し、急にイライラして怒ったり、わぁわぁ泣き出したりする情緒不安定な姿に、「まるで自分を見てるようで、恥ずかしい」とムスメ。
なるほど。
自覚はあるんですな。
自分でもどうしていいのか分からない。
止めたくても止まらない。
訳が分からないけど出てくる涙。
怒りたくないのにイライラする自分。
大好きだったのに、大嫌いな親。
甘えたいけど、拒否したい。
全く思春期はイカれてる(笑)
誰もが経験する、「感情の嵐」が吹き荒れる不安定な時期を、「インサイド・ヘッド2」は笑わせたりハラハラさせたり、抑えられない涙を誘ったりしながら、温かな視線で描いてゆきます。
カッコいい自分も。
ダメダメな自分も。
全部ひっくるめて、私。
そのままで大丈夫。
素敵な思い出も、忘れたい記憶も、どんな些細な出来事も、全てが絡み合って自分らしさを作っていくから。
そんな風に、そっと背中を押してくれる映画です。
この夏の思い出の一つに、オススメです。
前作より、内容も大人よりになっているので、小さい子はちょっと退屈するかも。
実際、近くにいた3、4歳の男の子は途中で飽きてしまい、トイレに行きたがって脱出を試みたり、通路の階段をウ〜ロウロ。
エンドロールの時は、くるくる回って踊ってました(笑)
〈オマケ〉
脳内メーカーで遊んでみました。