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1979年「ルパン三世 ルパンVS複製人間」
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開 1978年
監督 吉川惣司
あまりにも名作のため今更語るのも恥ずかしく思えるほどなのですが、私はこの映画をまだ見ていない人をうらやましくさえ思うのです。
私が小学生の頃、地元の映画館でひっそりと上映していたのを覚えています。
テレビアニメのルパン三世は大好きだったのですが、絵のタッチが違って違和感を感じたのもあり「あのルパン三世の映画か…」というくらいで特に興味を引かなかったのを覚えています。
当時小学生だった私の記憶する限りでは、テレビや雑誌などのメディア媒体で宣伝されるという事もほとんど無かったように思います。
この映画を初めてテレビの金曜ロードショーで見た時はあまりに衝撃的で、余韻にひたるあまり眠れなくなったほどでした。
子供ながらにものすごいものを見てしまったという感覚だったのでしょうね。
この映画と比較されるのが宮崎駿監督の「カリオストロの城」ではないかと思いますが、優劣というより完全にどちらが好みかという問題だと思います。
「カリオストロ」よりもこちらの方がモンキー・パンチの原作のルパンに近いですね。
名作というものは見る度に新たな発見があると良く言われますが、私はこの映画を10代、20代、30代、40代と見続けてもそのたびに新たな魅力を発見するのです。
10代、20代の頃はどちらかと言うと、ルパンの優しさ全開のカリオストロが好きだったのですが、年齢を重ねるに連れこちらの方が好きになってきました。
エロくて大人でクール、単なるアニメだと思って映画館に見に行った人は完全にヤラれてしまったでしょうね。
当初この映画の興行成績が振るわなかったのは、明らかに時代より先を走りすぎていたからでしょうね。
冒頭のDNAをコピーする描写やシャープな作画も含め、令和の今見てもまったく古さを感じないのが驚異的です。
この映画の公開が1978年 「カリオストロの城」の公開が1979年で、2年連続でこんな大名作を見せられてはルパン三世ファンはたまりませんね。
テレビアニメでルパン三世が放送され登場人物のキャラクターが見る側に周知されており、映画化するにあたって、料理に例えるなら素材から調理するというよりはすでに仕上がっている食材をどう盛り付けるかという段階からの作業になるかと思うのですが、ルパンと不二子の大人の駆け引きやキャラクターの魅力が練りこまれたストーリーの中にぴったりはまって、見る者の期待をはるかに超える作品になっていると言えますよね。
マモーの強烈なキャラクターも当時は衝撃的でした。
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クールだけどたまに失敗もして女にも騙されるいといった人間的なキャラクターのヒーローはルパン三世以前にはいなかったように思います。
峰不二子もそれまでの優等生的な女性キャラクターと違い、ルパンにすり寄ったり突き放したり場合によっては裏切ったりとルパンと対等に渡り合うのが斬新でした。
この映画の監督、吉川惣司は「ルパン三世ファーストシリーズ」や「未来少年コナン」「サイボーグ009」などの脚本も手掛けているのですね。
宮崎駿に比べると知名度は低いかもしれませんが、負けず劣らずの天才と言えるでしょうね。
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クローン技術で不老不死を目論むマモーに「長生きしたってろくなこたぁねえぜ……」
愚かな野望を一蹴するルパンのクールな一言ですね。
重いテーマを扱っているにもかかわらず、最後は「ルパン音頭」で締めるところも肩の力が抜けていてクールです。
エンディングの「ルパン音頭」やほとんどの楽曲を担当している大野雄二の素晴らしい音楽もルパン三世の世界観にぴったりフィットしていてすばらしいですね。
おなじみの「ルパン三世のテーマ」をはじめ「ラヴ・スコール」などサウンドトラックを購入し何度も聞きましたが、ルパン三世の世界観が凝縮されていて名場面が頭に浮かびます。
おなじみの声優陣をはじめ、ストーリー、脚本、素晴らしい音楽の出会いが奇跡のような名作を生んだのでしょうね。
私にとってこの映画は10年後、20年後も見続けたい大切な映画です。