午後のロードショー「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」
公開 2011年
監督 ルパート・ワイアット
出演 アンディ・サーキス(シーザー) ジェームズ・フランコ トム・フェルトン
「猿の惑星」の前日譚であり、いかにして人間に代わり猿が地球を支配するようになったかを描いています。
人類を救うはずの新薬が猿に知性を与え、結果的に人間を滅ぼしてしまうのは皮肉なことですね。
映画の前半は、ウィルと認知症を患う父親との関係性と、薬物実験の結果偶然にも人間をも凌ぐ知能を得てしまったチンパンジー「シーザー」の成長過程を描いています。
徐々に認知症が進行する父親とそれを見守る研究者ウィル、自らのアイデンティティの置き場に苦しむシーザーと彼を虐待する人間など、重苦しい展開で胸が締め付けられました。
製薬会社ジェネシス社の研究所に勤める研究者ウィルが実験のためアルツハイマー病の新薬ALZ112を投与したチンパンジー、ブライトアイズが驚くべき知能を示す。
ウィルは突然暴れ始めたため射殺されたブライトアイズの子供にシーザーと名付け育てるが、シーザーは生後間もなく類まれな知能を発揮し始める…
アルツハイマー新薬ALZ112の実験体を母親に持つシーザーの知能と知性は、ウィルの予想をはるかに上回るスピードで発達する。
成長とともに自我が芽生え、人間でも猿でもない自分に苦しみ、人間の庇護の元でしか生きられない事に疑問を感じ始めるシーザー。
シーザーは人間を傷つけたことでウィルから引き離され霊長類保護施設に入れられる。
他の猿と共に劣悪な環境で過ごすうちに彼の中で眠っていた野生が目覚め、仲間と共闘し自分たちを虐待した飼育員に報復を果たし施設から脱走する。
新薬ALZ113の力で意思伝達の能力を得た猿たちは、シーザーの指揮のもと人間たちに反旗を翻す…
霊長類保護施設の管理員の役を「ハリー・ポッター」シリーズのマルフォイ役で有名なトム・フェルトンが演じていますが、いじめっ子の役をやらせたら彼の右に出る者はいませんね。
シーザーが怒りのあまり眠れる野生を目覚めさせる起爆剤の役割を見事に果たしています。
人間キャストの中で一番演技が光っていたのは彼ではないでしょうか。
シーザー役は俳優アンディ・サーキスがモーションキャプチャーで演じており、「眼」だけでシーザーの深い知性、怒りや悲しみを見事に表現した圧巻の演技と言えます。
彼の演技が素晴らしいせいか、後半に進むにつれ完全にシーザーに感情移入し、育ての親のウィルすらも名声が欲しいだけの偽善者に見えてしまいます。
アンディサーキスは「キングコング」や「ロード・オブ・ザ・リング」のゴラムの役も演じているのですね。
残念なのがウィルのキャスティングです。
その辺にいるお兄ちゃん風で、苦悩する科学者には見えず、彼の薄っぺらい演技と存在感が重厚なストーリーにB級要素を与えているように思うのです。
恋人役の女優も単なるきれいなお姉さん風で獣医にはまるで見えません。
乗組員が辿り着いたのは猿の惑星などでは無く、変わり果てた未来の地球の姿だった…
1968年公開「猿の惑星」で、乗組員が半分砂に埋まった自由の女神を前に泣き崩れるシーンはあまりにも有名ですね。
2006年シエラレオネ共和国で、人間に飼われていたチンパンジーのブルーノが複数の仲間と共に自然保護区を脱走し人間を襲う事件がありました。
保護区にはチンパンジーの脱走を防ぐため複雑な開錠操作を必要とするロックを何重にも設置していたそうですが、ブルーノは人間らの開錠操作を学習しゲートの扉を開いて脱走したのだそうです。
恐るべき身体能力と器用な手先、彼らが知能を手に入れたら人間を支配するようになるのも非現実的ではありませんね。
今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。
総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★★★
流し見許容度★★
午後ロー親和性★★
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