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1987年「竹取物語」


公開 1987年
監督 市川崑
公開当時 沢口靖子(22歳) 三船敏郎(67歳) 若尾文子(54歳)

古典「竹取物語」にUFOや宇宙人などのSF要素を足しただけで、新しい解釈などは加えらえていません。
十二単を纏った沢口靖子の美しさは異次元レベルで、ストーリーなどは背景に過ぎず、私も彼女見たさに映画館に足を運んだものです。
東宝が企画立案から完成まで10年の歳月をかけており、類まれな美貌を持つ女優、沢口靖子の存在を得て実現した作品と言えます。

三船敏郎、若尾文子などの豪華俳優陣と、衣装をワダ・エミが担当するなど、製作費20億円をかけており、その年の超話題作だったのを覚えています。

「月へ帰る前に、伝えたいことがあります…」
映画とタイアップしたカネボウ化粧品のCМを思い出します。

ストーリーは従来の「竹取物語」を踏襲しただけで、月から落ちてきた美女が下賤な人間どもに上から目線で無理難題を課したあと、月から迎えに来た従者と共に月に帰って行く、というお話です。

沢口靖子演じるかぐや姫は終始お雛様然として感情を露にすること無く、高畑勲のアニメ版「かぐや姫の物語」のように姫の内面や葛藤などは描かれていません。
副題は「プリンセス・フロム・ザ・ムーン」で、彼女の美貌の説得力があれば、演技力など不要ですね。

ストーリーに新しい解釈を加えるよりも、VFXや特殊効果に多くの予算を割いている印象で、ラストの宇宙船のシーンは「未知との遭遇」を彷彿とさせます。
主題歌のピーター・セテラが歌う「ステイ・ウィズ・ミー song for KA・GU・YA・姫」も本作の神秘的なイメージにぴったりで、今でも曲を聞くと映像が脳内に広がります。

「人間の真心、忘れません…」

日本最古のSFと言われる竹取物語は原作者不明で、神秘的な世界観に多くの人が惹きつけられ映画や小説、漫画に至るまで数多くの二次創作が製作されいます。

星野之宣の漫画「月夢」は、かぐや姫から別れ際に受け取った不老長寿の薬を飲み、現代まで生き続けた竹取の翁が、NASAの力を借りて宇宙飛行士となって月まで行き、かぐや姫に再会するという壮大なストーリーで、まさにSFの真骨頂、夢とロマンと神秘に溢れた名作で強烈に印象に残っています。

竹取の翁は、美しく聡明なかぐや姫の将来を案じ、帝を始め多くの富裕層の男性の目に止まるよう都に上り教育を施しましたが、女性の幸せは男性によって決まるという古来からの男性優位の価値観ですね。

月から落ちてきたのが女性で無く男性だったらどうなっていたでしょうか。
月の住人のレベルを考えると超絶イケ面であることは間違いなく、かぐや姫のように都に上る事無く、田舎で女性と無双に遊び倒し、潮時になったらしれっと月に帰って行ったかもしれませんね。

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