2002年「フロム・ヘル」
公開 2002年
監督 アルバート・ヒューズ
公開当時 ジョニー・デップ(39歳) ヘザー・グラハム (32歳)
この映画はもう3~4回は見ていると思いますが、何度も見ても最後まで真剣に見てしまします。
切り裂きジャックの事件がベースになっているのですが、謎の組織フリーメーソンやイギリス王室に絡めたりとサスペンス要素満載でです。
19世紀半ばのロンドンでは、貧困層の女性たちは生活のためやむなく売春をするケースが多かったそうです。
ヘザー・グラハム演じる娼婦のメアリーが「私たちはただ不幸な女だっていうだけよ」というセリフが、女性たちの苦しみを表しているように思います。
娼婦が次々に殺害されていきますが、私はこの映画に登場する娼婦の描写がとてもリアルだなと感じます。
公共の洗い場で、朝 夜の仕事を終えた娼婦たちが 体を拭き 小さな手鏡を奪い合って身支度するシーンは生生しいものがあります。
入浴も頻繁にできるわけではなく、服もほぼ毎日同じものを着ているようなので、当時の衛生状態は相当酷かったでしょうね…
ジョニー・デップ演じるフレッド警部が 殺害された娼婦の死体のそばにぶどうの軸が落ちえているのを発見し不審に思います。
彼女たちが殺害される時、犯人がブドウやワインで誘うシーンがありますが、当時の貧困層の庶民は果物などめったに口にできるものではなかったでしょうね。
この映画でのジョニー・デップは 暗く澄んだまなざしがとても魅力的ですね。
画面から血の匂いが漂ってきそうなほどおどろおどろしい映画ですが、ジョニー・デップの透明感がそれらを中和しているように思います。
この時代のロンドンは暗くじめっとした路地裏に何かが潜んでいそうな恐ろしさがあり、こういったサスペンスの舞台としてはうってつけですね。
切り裂きジャック事件の犯人はまだ特定されていないそうですが、それがこの映画のすごみと恐怖を増幅させているように感じます。