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スタートはいつでも。な、話し。
閲覧ありがとうございます。
春は、スタートの季節ですよね。そして、お引っ越しのシーズンでもあります。
今日は、時々、大家さんの代わりにわたしがお邪魔するアパート物件でのことを書いておこうと思います。
「お友達のお嬢さんが初めて一人暮らしをされるから、悪いけど、水道の元栓とか、ガスとか、教えていただけないかしら。近所にも不案内だから、、」
(不動産屋さんを通さず、また、縁故で入れたのか)
その日は、日曜日で、昼から予定があったわたしは、「じゃあ、午前中で良ければ、ちょこっと寄りますね」と、返事しました。
その日の朝10時に、アパートに出向くと、娘さんのお母様が、ドアの前に立っていたので、わたしは、急いで行って、挨拶をしました。
「すみません、水道は、各部屋にバルブがありまして、今は止めてますから、ここを開けて、、」
と、言いながら、玄関横のメーターBOXの場所を
教えました。
「はぁ、、」
大抵の住人さんは熱心に聞いてますが、このお母様は、どこか、頼りなげです。
「あ!娘さんに直接がいいですよね!後にしますか。午前中しか、わたしは、ダメなんですけど、、」
と、言ったら
「娘?」
「は?」
「娘はいませんけど。」
「え!!(息子の間違いだったか)」
「わたしが住むんですけど!」
(!!!大家さんから見たら、確かに、お友達のお嬢さん。先入観で、新入学か新入社員かと思ってました!)
「あっ!失礼しました!」
お愛想笑いをしながら、(じゃあ、しっかり覚えてもらわないと)と、思い、また、説明に戻ろうとしたら
「わたし、いろいろ言われてもわからないわ。全部、セッティングしてくださる?」
「え!!」
内心、ちょっと考えましたが、とりあえず、水が出るようにして、ガスは業者を呼んで開栓するように伝えました。
「わたし、、大学出てすぐ、結婚したでしょ?」
(いや、知りません。)
「おうちでは、誰かがいたから、自分では、やったことないの。不安だわ」
黙って、立っていると、次々と、ネガティブ発言が出てくるので、時計をちらちら見ながら、聞いてはいましたが、最初って、みんなも不安だし、通る道だし、スタートが遅かっただけの話しなんですよね
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ご自分の離婚にいたる経緯や、不安な気持ちを話して、幾分、落ち着かれたのか、壁に「絵画」をかけても、いいか。とか、質問されました。
「うーんと、普通に生活する上でのインテリアとかなら大丈夫なんですけど、転居されるときは、現状復帰が原則なんで、壁に予測外のキズがあったら補修費用を請求されますよ」
「お母さんのお知り合いだから、大丈夫じゃないかしら。」
(そこら辺は違うんじゃないかしら)
と、思いましたが、それは、要らない世話なんで
黙ってました。
「これ、色あいが、温かくて好きなの。牧場の絵って、落ち着くわ。ふふっ。羊のメリーさんがいっぱいいるでしょ。」
段ボールの中の絵画をのぞくと、牧場の絵でした。
メリーさんがいっぱいと言ってましたが、
「メリーさん」は、羊の名前じゃなく飼い主の名前なんですが、それも黙ってました。
「では、わたしは、帰ります。もし、質問とかありましたから○○さん←(大家さんの名前)に、聞いてください」
「あらっ!良かったら、あなたの連絡先を教えてくださらないかしら。ダメ?」
「……いゃー、それは、どなたにもお断りしてるので、すみません。」(てか、誰からも聞かれない)
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バンビみたいな瞳で見られたから、うしろ髪を引かれましたが、、
でも、新しいスタートって、年齢は関係なく不安だし、素晴らしいことばかりではないのが当たり前だし、他人からの力と情報で、基盤を築くより、自分の努力で、トントンと築く方が、雨は吸わないと思います。
「こんなことも知らないのか」、
「決まりですから、守ってください」
とか、他人は厳しくシビアなもんですよね。
一人暮らしだけじゃなく、社会人になったら、
風雪ながれ旅が始まります。始まりますが、自分で旅の仕方を覚えたら、雪がヒノヒカリに変わったりするんですよね。
あれから年月が過ぎ、ある夕方に、あの女性を交差点で見かけました。女性は、自転車に乗り、信号が変わるのを待ってました。
わたしが、お会いした時より、表情が、、なんというか、精悍な感じがしました。信号が変わるのを
F1ドライバーみたいな鋭い瞳で見ていました。
乗ってるのはママチャリでしたが。
(人間って、やっぱ強い。環境に順応できる能力は素晴らしいな)
と、思いながら、見ていました。
なんとなく、わたしも、教えられた一件でした。
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