買い取れまっせん!な、話し。
閲覧ありがとうございます。
今日は、夏の終わりくらいに、友人の家にて、
遭遇した「訪問買取」でのコレアレを書いておこうと思います。
「あのさ、今度の日曜日、15時にうちに着物の訪問買取が来るんだけど、付き合ってくれない?」
友人から電話がありましたが、わたしは、着物など詳しくありません。おばさんは、いないの?と、聞くと、
「パートは13時までなんだけど、それからちょっと寄る場所があるらしくて、15時には、遅れそうなんだよ。私、一人では、心細いし、相手は男の人だから、ちょっと緊張する。いてくれないかな?」
一点から着物買い取ります!
ボロくても、あきらめないで!
とか、CMで、良く見ていたし、いつか、自分んちも
売りたいなと思う時が来るかも。
後学の為に、行くことにしました。
友人は、二年前に亡くなったお祖母さんから譲られた着物や、自分と母親の着物など10点ばかり、査定してもらうということでした。
「あっ!これ、まだしつけ糸が付いたままじゃん!古着じゃないんじゃないの。」
テーブルに並べた畳んだ着物は和紙に包まれ、数を並べたら、結構な華やかさでした。
未使用品の、着物小物、足袋などが、未開封のまま、並んでいました。
「それは、母親のなんだけど、着ないから、売るって。わたしは、要らないし。。」
着物って、普段は、着ないし、場所を取るから、断捨離の意味も込めてという、おばさんの希望でした。
ピンポーン!
15時ちょうどに、チャイムが鳴り、応対に出た友人の後ろから、キリッとした感じのスーツ男性がにこやかに現れました。
「本日、担当させていただきます。◯◯です。よろしくお願いいたします。」
とても、礼儀正しくきちんとされた紳士な感じの担当者さんが、名刺を出して、挨拶しました。
「△山のりこさまでしょうか。」
「あ、母親は、遅れて来るので!私は娘です。彼女は親戚です。」
「承知いたしました。では、お電話でも、お伝えしたと思いますが、やり取りは、録音させていただきますね。よろしくお願いいたします。」
なるほど、、お金が絡むから、後で、「言った言わない」が発生したら、困るもんね。
私は、なるほどと、思いました。
「あっあっ!着物!並べました!」
緊張のあまり、上がっているのか、甲高いソプラノ声で友人が言い、
「拝見いたします。」と、担当者さんが、テーブルに近寄ったとき、おばさんが帰ってきました。
(まじか!着物を着ている!)
友人も、びっくりしたと思いますが、おばさんは、着物を着て現れました。着付けしてもらったから、
遅れて来たのでしょう。
化粧も、バッチリで、顔立ちから中村玉緒さんを連想しました。
(鑑定人を牽制するつもりかな。私は、着物には
うるさいのよ。というふうに。)
おばさんに、挨拶をして、いよいよ鑑定かと、緊張の空気になりました。
友達親子も、なんだか顔が、上気していました。
私は、テレビ番組の「なんでも鑑定団」のように、鑑定人が、一点、一点、
ジャカジャン!!と、値段を言うのかと思っていましたが、違うくて、一点一点、写真を撮り、証書などを見たりして、本社?に送信しているようでした。多分、鑑定人によって、違いが出ないように、会社の基準に、合わせる為かなと思いました。
見るポイントは、会社の規定で、決まっている印象を受けました。
「こちらの金額になります。」
電卓で、示された数字は、
330円!!!
マジかー!!
私も、驚きましたが、友人親子は目玉がビー玉みたいになっていました。
「え、え、あの、思ったより、安いんですね」
おばさんが、口火をきりました。
私も、着物など何十万もするし、高価だから、
何万円とか、10万は、するかなとか、素人判断で思ってました。
「こちらが70円、こちらのお着物が150円、、こちらとこちらは、◯◯円。あとは、お値段をお付けできません。」
「え!え!足袋も?新品ですよ!バッグも!」
神妙な顔をした鑑定人は、「お値段はお付けできない」と、もう一度言いました。
「当社規定に寄りますので、ご了承ください。お申し込みの際に、説明があったと思いますが、成立であれば、買い取り分だけを、お引き受けいたします。」
おばさんが、小梅太夫みたいな蒼白な顔で、石像になってしまったので、
友人が、
「お母さん、、どうする?」
と、ボソリと言いました。
「もし、よろしければ、ゲーム、ブランド品、お酒なども、鑑定買い取りいたしますよ。ご不要品はございませんか?」
鑑定人が、ニッコリと言いました。
「あ、あ、ポケモンがある!」
友人が、慌てて、自分の部屋に走っていきました。
330円だけでは、徒労に終わるから、なんとか、
少しだけでも、「儲けたい」と、意地が出たのかもしれません。
「ジャニーズの商品などはございませんか?!」
今日、一番のデカイ声で鑑定人が言いました。
パワーがこもっていました。
おばさんは、黙って考えていましたが、
「おばあちゃんが、郷ひろみの下敷きか、なにか、忘れたけど、持ってた。若い頃の。古いよ。」
「郷ひろみは、ジャニーズじゃ、ないよ。おばちゃん。」
「デビューはジャニーズだよ。持ってきましょうか。」
鑑定人が、是非にというので、おばちゃんは、探しに奥に行きました。
「これ!新しいポケモンだけど!」
友人が、Switchのポケモンゲームを持ってきて、
見せると、なんと、着物より、全然高い値段が付きました。びっくりしました。
ピンチの時に、やっと一つ、アウトをとったピッチャーみたいな顔をして、友人が、少し笑いました。
「あった!あった!」
埃をかぶった、紙袋を開けると、ビニールに入った、下敷きじゃなくて、レコードが出てきました。
「これ、郷ひろみじゃないよ!」
私と友人が言い、良く見ると、
ひかる一平と、書かれていました。
ひかる一平??誰それ。釣り吉三平の関係者か、なにか?
髪型が、郷ひろみさんに、似てたから、間違って記憶していたのかもしれません。
グーグルで調べると、なんと、ひかる一平さんはジャニーズ事務所でした!
「忘れてたくらいなら、売っちゃえば?」
ひそひそと友人がおばさんに言いました。
そして、出された金額は、ピカチュウより遥かに高額でした!
私たちは、一平の凄さを知りませんでした!
「なんかさ、慌てて、売らなくても、いいんじゃない?価値が解っただけでも、、ゴニョゴニョ」
と、一平売っぱらえ派から、一平保存派に、一瞬で変わった友人親子がいました。
私は、一応はそこに存在はしていましたが、
家庭内論議には、加われないので、一平登場からは、完全に無視されてました。
ゴニョゴニョタイムが終わり、
おばさんが、申し訳なさそうな声で、
「ご足労いただきましたが、今回は、売却は、見送ろうかと思います。着物も、娘と考えまして、また着るかどうするか、考えます。申し訳ございません。」
親子と、ついでに私も、ペコリと頭をさげました。
「とんでもございません。今回は、当社にお申し込みいただき、ありがとうございました。」
と、担当者さんは、爽やかな態度で、去っていってしまいました。
大運動会が終わったあとみたいに、脱力感満載の
親子でしたが、
「着物を直すの手伝いますよ。運びましょうか」
早く帰りたかった私が言うと、
「あ、大丈夫。ちょっと休憩してから、ゆっくりするから。RIAちゃん、今日は、長い時間、ありがとう。なにか、お菓子かなんか、買ってたら良かったんだけど。。」
と、おみやげを持たせようと、キョロキョロしてくださいましたが、貴重な経験になったんで、大丈夫です。失礼します。と、帰ってきました。
良く考えたら、着物って、成人式以降は、着るシチュエーションは限られているし、供給のほうが、
需要より、大幅に、上回っているだろうし、人間国宝作品とか、着物自体に歴史があるもの以外は、売りたい側の希望通りには、いかないんだろなと思いました。
「着物買い取ります」は、入り口呼び込みで、じつは、ブランド品とかその他の品物を買い取るのが、メインかもしれませんね。
自分が価値があると思ったら、いつまでも価値は下がらないだろうし、大切にするだろうし、
自分が、「もう要らない」と、思ったものは、
他人がどう価値を付けようが、仕方ないのかもしれませんね。
自分が気に入っている品物は、いつまでも、
だいじにしたいなぁとか、帰りの電車の中で思いました。
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