カレーとビールの後に
そういえばビールが飲みたくなった。今、中央線に乗っていて四谷とかその辺くらいだろうか。俺は先程、新木場で昼に食べた薬膳スパイシーカレーの味を思い出していた。白い大きな円の皿に飯とカレーが4:6の割合。飯側にカリフラワーなどのピクルスが添えられていた。割と辛口で薬膳というだけあって色々効いていた。マスタードの風味が印象的だった。店はお洒落な雑貨屋兼カフェで何故か注文品を自ら取りに行く学食スタイル。その途中、カレーとビールをお盆の中に席に戻る女とすれ違った。その瞬間にもああカレーにビールで飲みたいとおもったが今も思ってるよ。カレーといえば前半だけは読み終えた寺山修司の評論本「書を捨てよ街に出よ」の中に氏曰くカレーライス人間というタイプの日本人が登場してくる。「書を捨てよ…」の映画版(演劇版も?)と書籍版全然内容違くない?あの映画深夜に見たらめちゃくちゃ鬱になったけどと思いつつ読んでいくとカレーライス人間というのはとにかく安定を求める典型的な日本人的思考の持ち主で冒険をしない「やっぱり母ちゃんのカレーライスが日本一だ」(母ちゃん=自分の妻。昭和な言い方だ…)といった調子の人達らしい。燕の巣をゲテモノ扱いしていた描写もあって、その人達は薬膳カレーのことをどう思うんだろうか。だとしてもカレーにビールって間違いないよね。
いつの間に車窓の景色はお馴染みの西東京の街並みだ。
「そういやフジちゃんて32歳やったっけ?」
隣の席に座る友人のM氏が少し疲れた声で話しかける
「30だよ」
「あ、そやった」
今日はこういうくだらない会話ばかりで続いていく。そして我々は元々、飲み屋で出会ったので年齢が離れている。彼は確か26歳やったっけ?
どうでもいい話で
でも会話ってそういうものだよね。そしてM氏に実はあの時カレーにビールが飲みたくなってしまったんだと話しかけてみる。
一言二言。で次の話題へ移って
日曜日の午後。穏やかながら時間は確実に過ぎていった