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【通勤映画館】はじまりのうた・BEGIN AGAIN|NYの街角でレコーディング?
音楽と映画が深く関わった作品はいいですね。本当は劇場の大音量で聴きたいものですが、私はもっぱら車内の7インチ液晶で鑑賞しています(汗)。
今回ご紹介するのは音楽作品には高い評価をもつジョン・カーニー監督作品の『はじまりのうた』(2013年)。同監督の作品には『ONCE ダブリンの街角で』、『シング・ストリート』など、同様の音楽作品が並びます。
この手の作品は音楽の質とストーリー(映画)の質が天秤にかけられ、評価が分かれるものですが、本作はどちらも高いレベルだったので音楽作品としてはナンバー1であると勝手に考えています。
キーラの歌声にとにかくしびれた
主演はキーラ・ナイトレイ。正直、映画を観終わるまでこの素敵な女優さんは誰だ? と考えていました。『スター・ウォーズ Ep1』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』で観たはずなのに、それらお姫様キャラとまったく違う役だったので、リンクしなかったんですよね。地味な服装で薄いメイク、八重歯が目立つ痩せたイギリス人、というテイストに完全に騙されました。
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それにこの方、断然に歌がうまい。シンガーソングライターであるグレタを演じる訳ですから、歌唱力がいまいちだとお話にならないのですが、なんとパーフェクト。楽曲もジョン・カーニーによる折り紙付きですから、出てくる曲がどれもレベルが高い。思わず自分のプレイリストに追加したほどです(このサウンドトラック、売れただろうな~)。
ちなみに本作ではマルーン5(『Sugar』が大ヒット)の高音ボーカル、アダム・レヴィーンが俳優初挑戦。こちらのライブ映像も見ごたえあります。
ニューヨークの街角でレコーディング
私が本作を予備知識なく観たのは「~ニューヨークの街角での生レコーディング~」というフレーズにキュンときたからです。音楽プロデューサーとして落ち目のダン(マーク・ラフォロ)は、酔った勢いでグレタをスカウトしたものの、スタジオを借りるお金がありません。そこで、ニューヨークの街角でゲリラ的に録音する、という案を思いつきます。
バンドメンバーは寄せ集め。レッスンをしていたピアノの先生を引き抜き、バイオリンとチェロは音大生、黒人のギターとドラマーは友人から借りてきました。このくだりが結構面白いのですが、映画ではさらっと紹介されていましたね。
彼らが即席のバンドを組んで、地下鉄のホームや路地裏、ビルの屋上で無許可で演奏。ボール遊びをしていた少年にチップをあげてコーラスに引き込むなど、ダンの卓越したセンスが光ります。
夜の屋上では曲の盛り上がりとともにバイオリニストが踊りだしました。もう両足ジャンプ! ストリートミュージックの醍醐味ですね。音楽ってサイコーだ、の瞬間です。そこへ、「何時だと思ってんだ!」というクレームが音源に飛び込みます。それも含め、楽曲にリアリティを加えるスパイスになるのです。
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二人の再出発(=Begin Again)も達成
即席バンドでの活動に夢中になり、失恋を乗り越えたグレタと家族との絆を取り戻したダン。二人の「再出発」も見事に描かれています。途中、二人があらぬ方向へスピンアウトしそうになり、ちょっとはらはら。若い失恋女と中年男の恋愛路線にならなくてほっとしました(笑)。
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追伸。
ちなみにダンの娘バイオレットとしてヘイリー・スタインフェルドが出演。光る演技を残しましたが、その後の彼女は『ラストミッション』(2014年)でケビン・コスナーの娘を、『バンブルビー』(2018年)では主役を射止めます。マーベルドラマ『ホークアイ』(2021年)ではケイト役に抜擢。スターダムを駆け上がる前の初々しい彼女に出会うことができます。
【通勤映画館】毎日の通勤は片道50分。車内では映画かドラマを観ています。通勤時間が映画鑑賞、通勤手段が映画館。
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