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【通勤映画館】オールド・ルーキー|夢を叶えるのに遅すぎることはない

アメリカ映画を観ていると、ある程度の頻度でベースボール映画と出会います。『フィールド・オブ・ドリームス』『ナチュラル』を筆頭に、「ベースボール×ノスタルジー×名優」の方程式はすでに鉄板です。この現象は日米問わずかもしれません。日本とアメリカに、いかにこの球技が浸透しているのかを実感します。

35歳でデビューした投手の実話

主人公ジム・モリスを演じるのはデニス・クエイド(メグ・ライアンの元夫)。2002年の公開時には40代後半だったはずですから、かなりのオールド感をにじませての演技です。高校教師で野球部の監督でもある彼は、若い頃にマイナーリーグでプレーした経験をもちます。しかし、よくある話で肩を痛めて引退。今ではテキサスの片田舎で美しい妻と三人の幼い子供たちと穏やかに暮らしていました。

デニス・クエイド/【The Rookie】

その彼のくすぶっていたベースボール魂を揺り起こしたのは生徒たち。下位に低迷する弱小チームに「諦めるな、夢をもて」と諭すジムに対して、「コーチだってそんなに速い球投げられるのに、夢を諦めたじゃないか。俺たちが地区優勝したら、もう一度プロテストを受けるって約束してくれ」と逆提案。ここから青春グラフィティがエンジン全開となります。

弱小チームが一致団結。あれよあれよと地区大会を勝ち進み、そして優勝。この展開だけでも十分いけていますが、これはこの映画のほんの序章に過ぎません。生徒たちとの約束を守るため、渋々マイナーリーグの入団テストに現れるジム(ベビーカーを押しながらのその姿はちょっと滑稽です)。久しぶりの全力投球で156kmをマークするのです。

ジムを支えた妻がすごい

ここからの展開は想像がつきますよね。安定した生活を捨てて夢に生きるのか、反対する父親と妻に阻まれてジムは葛藤します。けれど彼を理解し背中を押したのは自称「テキサス女」である妻ロリー。日本でいうところの肝っ玉母ちゃんというところでしょうね。

マイナーリーグでは長距離バスでの移動と粗悪な若者たちとの生活と格闘することに。「おっさん」呼ばわりされるのはいつものことで、疲れのたまる35歳の体にムチ打って広い大陸を移動してまわります。

ここで浜田省吾の『BASEBALL KID'S ROCKが私の脳裏に流れます。浜省もきっとこんなシーンを思い浮かべてこの曲を書いたのでしょう。

メジャー昇格して見上げるスタジアムの美しさ

挫折を乗り越え努力を続けるジムに、メジャーから声がかかります。デビルレイズのアウェーゲームとして、故郷テキサスの球場に舞い戻るジム。ちなみにデビルレイズには、最近では筒香嘉智が在籍していたような記憶があります。

見上げたスタジアムの美しさ、壮大さに声を失うジム。そのデニス・クエイドの演技にも感動。セリフはありません(たしか)が、胸に湧き上がる熱い想いが見てとれるシーンです。そしてスタジアムの観客席には、愛する家族と生徒たちが待っていました。

ベースボール映画、サクセス・ストーリーである一方、これは暖かい家族の物語に仕上がっているのでした。

追伸。
ベースボール映画の主役は選手だけに留まりません。『マネーボール』ではブラット・ピットがメジャーリーグのGMを、『人生の特等席』ではクリント・イーストウッドがベテランのスカウトマンを演じています。今は亡きチャドウィック・ボーズマンが黒人初のメジャーリーガーを演じた『42~世界を変えた男~』も力作でした。

【通勤映画館】毎日の通勤は片道50分。車内では映画かドラマを観ています。通勤時間が映画鑑賞、通勤手段が映画館。


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