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「涙の価値」#みんなで楽しむ朗読会2023梅雨
人はなぜ泣くのだろうか……
悲しいときはつめたい涙を頬に流し、嬉しいときは、あたたかい涙が溢れ出す。
有意義で無意味なもの
僕の愛犬は昨年、虹の橋を渡った。
名前はチェリー
とっても小さい子犬の時から実家で一緒に過ごした。茶色のトイプードルであるチェリーはドッグフードにこだわりが強く、ドッグフードにお肉の缶詰を少し混ぜて、しかもレンジで5秒ほどチンッしてあたためたものじゃないと食べない。
なんとワガママな犬だ。
そして、近くのホームセンターで売っていたいつものお肉の缶詰がマイナーチェンジで少し味が変わってしまい、食べなくなった。
仕方なく他の種類の似たようなお肉の缶詰を買って帰り、同じようにゴハンを作るが、食べない。
味と匂いがちがうのか、まったく食べない。
それは困るのでお肉の缶詰のメーカーに電話して聞いてみた。
前の古いタイプの缶詰はもう在庫ないのですか?すると、「そうですねー、もう新製品として変わったので、前の分はありません」と、言われた。
それから、いろいろ試して、ようやく食べてくれるお肉の缶詰が見つかった。
本当に手のかかる子だった。
しかもだ。僕には全然なつかず何度も手をガブッと噛まれた。
そんな手のかかるチェリーもいつの間にか老犬になり目が白くなり、足も弱くなり、自分でトイレの場所にも行けなくなった。
そんな状態のまま、半年が過ぎ、
どんどん食欲もなくなって、1日の大半をタオルの上で寝て過ごすようになった。
チェリーは、歩くこともできず、自分で食べることもできず、
それでも最後の最後まで生きようと頑張った。
そのときに流した涙は……
自分の素直な気持ち。
そう。
今までの思い出や、ありがとうの気持ち。
その涙には金銭的な価値はなく、無意味なものかもしれない。
だが、僕にとっては意味のある有意義なもの。
涙にはその人の思い出や様々な出来事が詰まっている。泣きたいときは泣けばいい、楽しいときは笑えばいい。
涙というものはこれからも感情と共に消えることなく、ずっと、ずっと、
そばに。