小川糸 「椿の恋文」
ミニチュア作家のいわなり ちさとです。
紹介した作品は販売します。気軽にお問い合わせください。
小川糸の連作「ツバキ文具店」、「キラキラ共和国」に続く新作「椿の恋文」を読みました。
鎌倉の山手にあるツバキ文具店。
祖母(先代と呼んでいます)の営んでいた文具店と代書と言う仕事を引き継いだ鳩子。
一作目の「ツバキ文具店」はドラマになったので、ご存じの方も多いと思います。
次作は「キラキラ共和国」
鳩子は妻に先立たれたミツローさんと結婚。娘QPちゃん(愛称です)と暮らし、代書の仕事を続けます。
そして、3作目は去年秋に刊行になった「椿の恋文」
鳩子は二人の子を産み、その子たちが小学校へ入学したのをきっかけに代書の仕事を再開し、さまざまな人の想いを代書することでその人たちの人生を経験していきます。
先代の秘めた恋が発覚したり、娘QPちゃんの反抗に手こずったりの日々。
さまざまな人の代書の依頼に真摯に向き合っていきます。
代書の仕事の中で余命の少ない母から結婚直前の娘に書く手紙に涙しました。
内容もですが、右手で書いた文章を読み返した鳩子が違和感を感じて、あえて左手で書き直したこと。その左手の文字を読んで、涙がこぼれました。
もうペンが握れない母の様子が文字で伝わるのです。
こういう風に依頼した人の想いを文字にして代わりに手紙を書くというのはなかなか簡単にできることではないけれど、彼女にはそういう使命があたえっれているのだと感じる場面でした。
もう一つ。
七草がゆを食べる1月7日に「七草爪」という、その年初めての爪切りをする風習があることを始めて、この作品で知りました。
七草を付けてある水に爪を浸してから爪を切ると、その一年風邪をひかないという言い伝えがあるのだそうです。
私はこの年になって初めて知りました。
柔らかくなった爪を切るのは固い爪を切るより切りやすくてきれいに切れるわけで、お正月に様々な”こと初め”をする風習を伝えてきた日本らしい言い伝えだなと思いました。
でも、書初めくらいしか残らず、ほかは廃れてきました。
一部には残っているのでしょうが、”七草爪”という風習を私は初めて知りました。今年はもう間に合わないけれど、来年の七草にはやってみようと思います。
また、小説から学ぶことができました。
ノウハウ本を読むより小説の中からこういう学びがあるほうが私にはうれしいし、記憶に残りやすいのです。
いい本を年初に読むことができてよかったです。
トップ画像は「椿の恋文」の表紙の一部です。
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