【柳町光男シリーズ#6】「ノックは無用」『さよなら渓谷(文庫解説)』より
こんにちは、三太です。
2学期が始まって1週間。
私の勤務校では今週に文化祭があり、それに向けててんやわんやの日々を送っています。
なかなか準備期間が短い中ですが、生徒は皆真剣にクラスの取り組みや部活動の発表に向けて頑張っています。
自分もそれに負けじとできることをしっかりしていこうと思っている今日この頃です。
では、今回は以前、『さよなら渓谷』の作品紹介のときに取り上げた「映画監督、柳町光男さんの解説」に出てきた映画「ノックは無用」を紹介します。
『さよなら渓谷』の文庫解説に出てくる11作(以前10作と書いていたのですがすみません11作でした)の映画のうちの6作目です。
約半年ぶりに投稿をあげるマガジンの記事なので、少しおさらいをしてみます。
吉田修一さんの『さよなら渓谷』という作品の文庫解説が映画監督の柳町光男さんでした。
柳町さんは吉田修一さんを「紛れもなく真底映画が大好きな小説家」(p.240)だと述べた後、『さよなら渓谷』という作品もとても映画的だと言います。
そして例えば、「主題と主人公のすり替わりがなんとも映画的」で映画『サイコ』を引用します。
また『さよなら渓谷』では市営団地のお隣さん同士が重要な登場人物として出てくるのですが、〈隣の家〉という視点からは映画『隣の女』、『グラン・トリノ』などを引き出します。
〈隣の家〉から〈隣の部屋〉、〈向かいの部屋〉まで押し広げて、まずは『裏窓』。そして同様に『非常の罠』。
その後今回取り上げた『ノックは無用』について触れられました。
ちなみに「ノックは無用」については以下のような記述となります。
では、実際に今から見ていきます。
基本情報
監督:ロイ・ウォード・ベイカー
出演者:ネル(マリリン・モンロー)
ジェド(リチャード・ウィドマーク)
リン(アン・バンクロフト)
エディ(エリシャ・クック・Jr)
上映時間:1時間16分
公開:1952年
あらすじ
ニューヨークのあるホテル。
このホテルのバーでリクエスト曲を歌う仕事をしている女性リン。
そのリンから「あなたは冷たい」と言われ振られた男、ジェド。
同じホテルにお金持ちの夫婦の子守として働きに来たネル。
ジェドがホテルの窓から向かいの部屋を見ていると、ネルと目が合い、振られた傷を癒やすためか、その部屋に電話をかけます。
はじめは警戒感を示していたネルですが、ネルもある事情で寂しさを抱えており、ジェドを部屋に招き入れます。
ここから物語は奇妙な展開を見せます。
設定
・ホテルの部屋の窓越し
・恋愛と癒やし
・ゴシップ好きなおばさん
感想
リンとジェドの恋愛、それとネルの話がどう繋がるのか、見ている途中はあまり想像できなかったですが、最後には上手く落ち着くところに落ち着いていきました。
ジェドは窓越しにネルを見つけたとき、(癒やしを求めつつ)下心しかなかったのではないかと思います。
上手く部屋に入ることができて、「よっしゃ」という感じでしたが、面と向かって話してみると、その幼さや何かおかしな感じを受けます。
そこからジェドは逆にどんどん良い奴になっていき、ここはとても面白いところでした。
マリリン・モンロー演じるネルもとても複雑な役柄で面白いキャラです。
一見、見た目はとても美しいので、その美しさに騙されそうになるのですが、二面性というか狂気があり、そこは美しさとのギャップからとても怖いところです。
物語として上手くまとめられた、とても良い映画でした。
秋の夜ギャップが怖い美女と会う
その他
・ウィキペディアより
→原作は米国のミステリー作家シャーロット・アームストロング(英語版)の小説『ノックは無用(原題:Mischief)』。
吉田修一作品とのつながり
・窓越しの出会いは、『おかえり横道世之介』での世之介と桜子との出会い方に似ています。
以上で、「ノックは無用」については終わります。
「思ってたんとちがうー」という声なき声が聞こえてくるような映画でした。
それでは、読んでいただき、ありがとうございました。
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