【作品#12】『長崎乱楽坂』
こんにちは、三太です。
11月に入り、2学期も中盤となってきて、少し疲れもたまってきました。
この時期の学校は生徒も教師もお互い大変です。
しっかりとここを乗り切っていきたいと思っている今日この頃です。
では、今回は『長崎乱楽坂』を読んでいきます。
初出年は2004年(5月)です。
新潮文庫の『長崎乱楽坂』で読みました。
あらすじ
長崎にある三村家という、いわゆるヤクザの一家の、坂のような上り下りのある、繁栄と没落の物語。
ちなみに三村家は祖父と祖母がおり、その子たち、長男龍彦、次男文治(実家を取り仕切る)、三男哲也(19歳で自殺)、長女一子(百貨店で売り子)、次女千鶴というのが主な家族構成です。
この物語は三村家の次女、千鶴の息子である駿と悠太の視点から描かれています。(そのため祖父と祖母となっています)
ただ、6つの話に分かれているのですが、はじめの5つが駿の視点、最後が悠太ということで、主に駿の視点と言ってもよいでしょう。
一番はじめの物語では7歳だった駿も、話が進むにつれ、どんどん成長していきます。
その成長の過程で様々な経験をしていくのですが、ずっとポイントとなるのは三村の家の離れとそこに出てくる幽霊です。
エンディングもその点が象徴的に描かれています。
一応、文庫の裏表紙の紹介文も載せておきます。
出てくる映画(ページ数)
①『太陽がいっぱい』(p.107)
今回出てきた映画は1作のみです。
感想
三村家はいわゆる一般の社会から孤立していて(地域では陰口を言われている)、しかし、三村家にいる多くの人はそこから逃れたくても逃れられないでいる状況です。
その典型が駿であり、唯一と言ってもいい、逃れていったものが悠太です。
作品の中では、三村家の家族、そこに出入りする人々が中心になって描かれます。
しかし、三村家の「離れ」という場所もとても重要な意味を持つものでした。
エンディングでは、そこが象徴的に描かれていると思います。
また、題名にもあるとおり長崎が舞台となっており、長崎特有の坂道の描写も意味を持つものだと感じています。
長崎という土地に根差した空気感を存分に味わえる作品です。
坂の町秋風鈴と離れの霊
次回は『太陽がいっぱい』を紹介します。
では、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。