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【作品#42】『アンジュと頭獅王』

こんにちは、三太です。
 
ついに『おかえり横道世之介』の映画紹介が終わりました。
既に見たものもあったとはいえ、全9作品あったので、かなり長かったですね。
今日からは新しい作品ということでフレッシュな気持ちでいきたいと思います。
(世之介とはまたきっと別の機会に出会えると思います)
 
では、今回は『アンジュと頭獅王』を読んでいきます。

初出年は2019年(10月)です。

小学館の単行本『アンジュと頭獅王』で読みました。


あらすじ

説教節「山椒大夫」をもとに、オリジナルストーリーを加筆した作品。

父の冤罪を晴らすため、京へ上るアンジュ頭獅王の姉弟とその乳母の4人。
途中、母と乳母とは生き別れになり、丹後の国の山椒太夫一家に捕らえられ奴隷のように酷使させられる姉弟。
その後、姉を悲劇が襲い、弟はその仇を討とうとします。

この仇討ちのシーンには昔の世界と現代の世界の融合が見られます。

公式HPの紹介文も載せておきます。

「人の幸せに隔てがあってはならぬ。
 慈悲の心を失っては人ではないぞ」――
太宰府に流謫された父の信条を胸に刻む頭獅王は、父の免罪を帝に訴えるべく母と乳母、姉アンジュと共に京を目ざす。途中、人買いにだまされ親子は別々に売り飛ばされて、奴隷同然の日々を送ることになる。やがて、邪見なる山椒太夫と息子・三郎に姉アンジュを責め殺され、執拗な追っ手から逃れ逃れて時空を超えた頭獅王は、令和の新宿へたどり着く。 再び宿敵の親子と対峙した頭獅王は、慈悲の心を果たして失わずにいられるのか――

出てくる映画(ページ数)

今回はありませんでした。
そのため次の作品に進もうと思います。

感想

昔と現代の融合が楽しいです。
基本的には数百年前の時代のことなのですが、ある瞬間に一気に現代に飛びます。
気づけば歌舞伎町にいるような感じです。
けれども、古典の文章がそれを無理なく実現していました。

また文章のことで言うと、音読したくなるリズミカルさもあります。
頭獅王をかくまってくれるお坊さんが、全国の神様を列挙していく場面があります。
そこなどは本当に迫力がありました。
まさにお坊さんの説教でした。

山椒大夫一家、特に三郎は鬼です。
これでもかというぐらい姉弟に対して、ひどい仕打ちをしてきます。
一方、同じ兄弟なのに人の心を持つ太郎・次郎もいて、そこらへんは改めて考えると少し不思議です。

本書はそれほど長くなく、すぐに読めます。
おそらく2時間かからないぐらいで読めました。
ただ、吉田修一さんのホームページに掲載されている担当編集者さんの言葉からは熱い思いが迸っています。
だからかもしれませんが、すぐには読めても、それだけの熱量を感じさせる1冊でもあります。

オマージュを捧げよラムネ飲みながら

以上で、『アンジュと頭獅王』の紹介は終わります。
過去と現在をつなぐ古文がステキな作品でした。

それでは、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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