【映画#83】「赤い橋の下のぬるい水」『空の冒険』より
こんにちは、三太です。
「日中車に乗ると、クーラーをかけても温風が出てきて全然冷えずサウナのようです」と前回書いていたのですが、周りと話していると、どうやら故障というか冷やすためのガスみたいなものが切れているようです。
それは涼しくならないわけですね・・・。
早く修理に行きたいと思っている今日この頃です。
では、今日は『空の冒険』に出てきた映画、「赤い橋の下のぬるい水」を見ていきます。
『空の冒険』に出てくる17作の映画のうちの10作目です。
基本情報
監督:今村昌平
出演者:陽介(役所広司)
サエコ(清水美砂)
タロウ(北村和夫)
ミツ(倍賞美津子)
立花泰造(ガダルカナル・タカ)
上映時間:1時間59分
公開:2001年
あらすじ
東京のある川沿いに住むホームレスのタロウさんが亡くなったところから物語は始まります。
生前タロウさんと親しくしていた、役所広司演じる陽介は会社を退職し職探しの途中。
その陽介はタロウさんから聞いていた隠された金の仏像を探しに、富山県の氷見市へと向かいます。
目的地である、赤い橋のそばにたたずむ家に着きます。
そこにはおばあさんと若い女性が住んでいました。
この若い女性、逢沢サエコはある一つの身体的特徴を有していました。
それは体に水がたまるというものです。
その水がたまりすぎると漏れ出し、悪いことをしたくなって我慢できなくなります。
そして男と体を重ねることでその水を流すことができます。
そのため陽介とサエコは出会ってすぐに体を重ねます。
そして、陽介はひょんなことから漁師としてアルバイトを始めます。
はじめはお宝目的で訪れた富山でしたが、陽介は徐々にその土地に隠された過去に巻き込まれていくのです。
設定
・不思議な人間
・性的な話
・地方が舞台
感想
全体を通して、謎めいた不思議な映画でした。
役所広司と清水美砂の濡れ場が何度かあるのですが、色気があるというよりもどこかちょっと笑える感じになっています。
他にも練習で氷見を走る黒人の留学生ランナーの存在やサエコが過去に付き合っていた男の最後、スーパーニューカミオカンデがストーリーに出てくるなど色んな要素が盛り込まれていてグイグイひきこまれて見ました。
その中で一番の謎がサエコの身体に水がたまるということなのですが、その水がたまるとダメなので、漁に出ている陽介にサエコはベランダから鏡を反射させて合図を送ります。
そうすると陽介は全速力で走って家までいき美砂と体を重ねます。
その速さは黒人ランナーの練習よりも速いスピードです。
このくだりも何度かあり、なんかちょっと笑えてきました。
オチも深刻な内容なのにどこかユーモアが感じられます。
不思議でユーモアのある作品だと私は思いました。
行水のごとく女の水流れ
その他
ウィキペディアより
→辺見庸の同名小説を今村昌平監督が映画化し、2001年11月3日に公開された日本映画。
→カンヌ国際映画祭のノミネート作品。
→今村昌平監督「うなぎ」と主演が同じ(役所広司と清水美砂)
『空の冒険』内の「赤い橋の下のぬるい水」登場シーン
短篇のタイトルの一つとして出てきます。
吉田修一が書いた「赤い橋の下のぬるい水」は堤景子という語り手が夫との関係を問い直す話です。
景子と夫は七年前に仕事の関係で出会いました。
はじめは全然恋愛関係とかではなかったのですが、三年目のある日に夫が当時付き合っていた彼女と別れます。
その愚痴を聞くうちに付き合い始めるというよくありそうな話ですが、景子はあり得たもう一つの人生について(それは自分も夫も)思いを巡らします。
正直映画と共通する部分はほぼなかったです。
夫が買ってきた鉢植えの薔薇に赤い虫がいるのですが、その「赤」がタイトルと呼応するのかなというぐらいです。
吉田修一作品とのつながり
・ある場所に縛り付けられた人(ミツはタロウを待ち続けていた)が出てくる。
以上で、「赤い橋の下のぬるい水」については終わります。
不思議でどこか笑える映画でした。
それでは、読んでいただき、ありがとうございました。
画像の出典:映画ドットコム「赤い橋の下のぬるい水」