【映画#36】「砂丘」『東京湾景』より
こんにちは、三太です。
先日、勤務校で体育祭がありました。
以前に比べ、体育祭を行う時期が後ろにずれてきたので、暑すぎて熱中症になるという心配は減りました。
半面、少し寒くてそういった意味で、盛り上がりに欠けるということも否めないと思います。
気候のさじ加減は難しいなと感じている今日この頃です。
では、今日は『東京湾景』に出てきた映画、「砂丘」を見ていきます。
『東京湾景』内に出てくる映画は3作ありますが、その2作目です。
基本情報
監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
出演者:マーク(マーク・フレチェット)
ダリア(ダリア・ハルプリン)
上映時間:1時間52分
公開:1970年
あらすじ
カリフォルニア州立大の学生、マークはストを起こす学生たちの議論と暴力にうんざりしています。
かと言ってもちろん権力側につくわけでもなく、ふらふらしています。
そんな中、学生と警察の衝突が過激さを増し、死傷者が出ました。
マークはその後、近くの飛行場にあったリリー7という名の飛行機を盗み、逃避行に出ます。
その途中、荒野の中で、ダリアという女性を上空から見つけます。
ダリアはサニーデューンという土地開発をしている会社の幹部の秘書をしていました。
その仕事での移動中のようです。
二人は一緒にZABRISKIE POINTという、500万年~1000万年前に堆積した湖底に来て、お互いのことを話し合い、一気に距離を縮めます。
むしろ、愛を深めます。
その後、二人は行動を共にせず、それぞれの道へ進みました。
設定
・学生のストライキ
・背景に戦争(ベトナム戦争だと思われる)
・ある種のロードムービー
感想
ストーリーを捉えづらい映画だなと感じました。
前半と後半で少し質が違う印象の映画でもあります。
前半は学生のストライキや衝突など現実的、後半は色んな空想のような映像が出てきてシュールです。
シュールというか色々と謎多き作品とも言えるかなと思います。
そもそも一学生であるマークが飛行機を操縦できるのかというのが、驚きの設定でした。
マークのボロボロの車であったり、サニーデューンの会社の豪華な別荘であったり、社会に存在する格差は描かれている気がします。
複数組の男女が交わったり、別荘が爆破されたりするシュールなシーンはダリアの心象風景ではないかと感じました。
そう考えないと、全体をうまくつなげて捉えられないなと感じます。
もちろんうまくつなげなくてもよいのかもしれませんが。
少なくとも誰かが幸せになる映画ではありませんでした。
ダリアの未来には期待したいです。
ジワジワと砂丘で交わる秋の暮れ
その他
性的なメッセージ性も強い(リリー7への落書きからそれが感じられる)
『東京湾景』内の「砂丘」登場シーン
このシーンは、美緒と井上幸治という男性の会話のシーンです。
井上は美緒と高校時代、同じ陸上部であり、この時は美緒の父の部下でもあります。
そして、井上は美緒の父から娘とお見合いをしないかという話までされていました。(結局お見合いは実現しませんが、二人は会って食事をすることにはなります)
それに加え、1年間東京支社勤務が決まり、上京することになっています。。
幸治は高校時代とても人気があり、美緒も実は好きだったかもしれないという思いまで持っていました。
ただ、幸治には、自分には彼氏がいるという話は暗にほのめかしています。
そうは言いつつも、一緒に食事に行って幸治と大きな声で笑い合う中で、亮介とはこんなことはしないなと感じてもいました。
つまり、亮介と美緒の間に割って入る人物として描かれています。
この引用部分でも、映画の趣味が合ってますよね。
そんな男から紹介される映画の一つが「砂丘」です。
この引用から少し分かるように、どちらかというと「日蝕」(「太陽はひとりぼっち」)の方がこの『東京湾景』では大きな役割を果たしていきます。
それは次回紹介できればと思います。
吉田修一作品とのつながり
車で移動する(これまでも何度かそういう映画はありましたが)ことや、男女の愛が結実しない感じは『悪人』に通じるような気がします。
以上で、「砂丘」については終わります。
それでは、読んでいただき、ありがとうございました。
画像の出典:Amazon「砂丘」
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